接骨院や整骨院で保険証を使って施術を行う際には、法律で決められたルールがあります。
当院では、初診時に問診時間を長めにとって、よく説明をするようにしています。また、最初に記入して頂く問診票にも保険診療時のルールが記載してあります。
実際、日々の診療をしていると、その内容を知らない方が殆どです。また、他院から転院されてきた方でも詳しく説明を受けていない方が非常に多いです。
看板に各種保険取り扱いと書いてあっても、何にでも保険証が使えるわけでは無いんですね。
今回のブログでは接骨院や整骨院での保険診療のルールについてご紹介します。
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接骨院や整骨院で保険診療適応となるもの
まず、接骨院で保険診療ができるものは、骨折・脱臼・捻挫(筋・靱帯を痛める)・打撲(ぶつける)・挫傷(筋を伸ばす・肉離れ)になります。
基本的に新鮮な外傷(怪我)が健康保険の適応となります。
また、骨折と脱臼に関しては、初日の応急処置の後は医師の同意が必要になります。(必ず、レントゲン検査を受けて頂きます。)
「初回の処置は接骨院で行ってよいが、2回目の処置を受ける前にお医者さんの診察を受けるように」という内容です。
また、仕事が原因による怪我に対しては労働災害保険が適用になり、通勤時の怪我に対しては通勤災害保険が適用になります。バイトの方でもパートの方でも皆様適応になります。
交通事故に関しては、自賠責保険が適用になります。場合によっては健康保険を使って施術する場合もありますが、その際は保険組合に「第三者行為による傷病届」が必要となります。
保険適応となる受傷原因例の一覧
保険適応の条件としては「いつ・どこで・どうなったか?」という経緯がはっきりしとしている場合になります。
捻挫の受傷原因の一例を下に挙げてみます。性別や年齢や体格や生活の仕方によって受傷原因には個人差があります。
首
- 寝違えた。
- 振り返った時に首を捻った。
- 転倒した時に首を捻った。
- 高い所の物をとるのに上を向いた時に首を捻った
- 同じ姿勢で本を読んでいた後に視線を変えた時に首に痛みが走った。
肩関節
- 物を持ち上げた時に肩関節を捻った。
- 転倒した時に手をついて肩関節を捻った。
- 倒れた自転車を起こそうとした時に肩関節を捻った。
- 車から荷物を降ろそうとした時に肩関節を捻った。
- 起床時に手をついて肩関節を捻った。
肘関節
- 転倒した際に手をついて肘関節を捻った。
- ものを持ち上げた時に肘関節を捻った。
- ドライバーでネジを締めるために力を入れた時に肘に痛みが走った。
- 野球の時にボールを投げた時に肘を捻った。
- 弓道で弓を引いた時に肘に痛みが走った。
手関節
- 転倒して手をついた時に手関節を捻った。
- 買い物袋を持ち上げた時に手関節に痛みが走った。
- 重いお鍋を持ち上げた時に手関節に痛みが走った。
- テニスでスマッシュを打った時に手関節を捻った。
- 柔道で相手の道着に手が絡まり手関節を捻った。
指
- 転倒した時に指をついて指の関節を捻った。
- サッカーでボールが指に当たり痛める。
- 空手で突きをした時に当たりどころが悪く指を捻った。
- 柔道で道着に指が絡まり指を捻った。
- お鍋を片手で持った時に親指に痛みが走る。
腰
- 重たい物を持ち上げた時に腰を捻った。
- 椅子から立ち上がった時に中腰姿勢をとって腰を痛める。
- くしゃみをした際に腰部が屈曲され腰を痛める。
- 洗顔時に前かがみになった時に腰を痛める。
- 転倒した際に腰を捻った。
股関節
- サッカーで走っていて方向転換をした時に股関節を捻った。
- 階段を下りている時に最後の一段を滑り落ちる。その時に股関節を捻った。
- 空手で上段の蹴りを打った時に股関節に痛みが走った。
- 自転車走行中にバランスを崩して足をついた時に股関節を捻った。
- プールサイドで足を滑らし、股関節が開く様に転倒する。
膝
- テニスでボールを打とうとして重心移動した時に膝を捻った。
- バレーボールでスパイクを打って着地した際にバランスを崩して膝を捻った。
- 駐車場の車止めに躓いた時に膝を捻った。
- 階段を降りている時に踏み外して膝を捻った。
- 散歩中に段差で転倒する。
足首
- 運動会の練習中に隣の人と足がひっかかり足首を捻った。
- バスケットでジャンプをして着地の時に下の人の足を踏む。その時に足首を捻った。
- 学校帰りに皆で走った時に足がもつれて転倒する。その時に足首を捻った。
- サッカーの練習中に接触プレーがありバランスが崩れた時に足首を捻った。
- 玄関の段差から降りて靴を履く時に足首を捻った。
捻挫の時の受傷原因の例を挙げてみましたが、打撲(各部位を直接ぶつける)や挫傷(筋を伸ばす・肉離れ)でも様々な受傷原因があります。
保険適応外となる例について

ここでは保険適応外となる例についてご紹介します。
先述したように新鮮な外傷(怪我)に対して保険が適応になりますので、怪我の明確な原因があっても、数か月前に痛めた・数年前に痛めた等の場合は、慢性症状とみなされたり、現在のご自身の痛みとの関連性を疑われ、保険適応外になります。
よって、受傷時は、なるべく早期に受診することをお勧めします。
また、原因がはっきりしない場合も保険適応外になります。あと、肩コリや身体の疲れなども保険適応外になります。
接骨院をする受診前に「心配だから先に病院でレントゲンを撮ってきたよ」という患者様もいらっしゃいますが、病院で痛み止め等の処方を受けた場合に1週間分の薬が処方されていれば、その1週間の間は病院の管理下となりますので、接骨院での診療の際は保険適応外になります。
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・リウマチ・脳梗塞のリハビリ・内臓による痛み・婦人科系疾患による痛み等も保険診療はできません。
施術案内のページに記載してありますが保険適応外のものに関しては自費料金が発生します。
接骨院・整骨院での保険適応について、厚生労働省のホームページに記載してあった文章を引用します。
柔道整復師の施術を受けられる方へ
保険を使えるのはどんなとき
- 整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に保険の対象になります。
- なお、骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。
治療をうけるときの注意
- 単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。
- 療養費は、本来患者が費用の全額を支払った後、自ら保険者へ請求をおこない支給を受ける「償還払い」が原則ですが、柔道整復については、例外的な取扱いとして、患者が自己負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する「受領委任」という方法が認められています。
このため、多くの整骨院・接骨院等の窓口では、病院・診療所にかかったときと同じように自己負担分のみ支払うことにより、施術を受けることができます。- 柔道整復師が患者の方に代わって保険請求を行うため、施術を受けるときには、必要書類に患者の方のサインをいただくことが必要となります。
- 保険医療機関(病院、診療所など)で同じ負傷等の治療中は、施術を受けても保険等の対象になりません。
保険診療に関するまとめ
今回のブログでは、意外と知られていない保険診療のルールについてご紹介しました。当院では初診時に問診時間を長めに設けて十分に説明します。
保険適応で施術ができれば、費用負担が少なく患者様のメリットになると思います。ただ、保険診療では施術内容にも制限(保険で認められている範囲内の施術)があります。
デメリットとしては、保険で認められていない施術はできない事もあり、かゆいところまで手がとどくような施術ができない場合があります。
保険診療のルールに合わない方(原因がはっきりしない・慢性症状・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症等)や他院に通院しながら当院でも治療する方などは、自費診療を致します。
また、症状の強い方には保険診療では症状の改善が厳しい為、自費診療をお勧めする場合があります。
自費診療を受けるメリットとしては、保険診療ルールの縛りが一切ない事、施術パターンが増えるので症状改善までの時間が短縮される事が挙げられます。逆に言えば、自費診療のデメリットは患者様の費用負担が増えることです。
当院では保険診療のルールを守り診療をしていきたいと思っています。
費用負担の関係もありますので、安心して受診して頂く為にも、「私の場合はどうなんだろう?」という方は、牛久市の蛯原接骨院にお問い合わせ・ご相談ください。