マレットフィンガーとは、主に突き指様の外力(球技の際のボールと指先との衝突等)が原因で発生します。
第一関節が曲がる方向にストレスがかかると発生します。
この怪我をすると、外見上、指の第一関節がお辞儀をしたようになり、指先が下がってしまうのが特徴です。
病態としては指を動かす腱の損傷から骨折、又は脱臼骨折といろいろなものがあります。
状態によって処置の仕方にも違いがありますが、腱の損傷でも骨折でも脱臼の危険性があるものでも、手術の適応となる事が多くみられます。
しかし、大体の場合は適した処置を行えば手術を回避できます。
今回はマレットフィンガーに対する、当院の考え方についてご紹介致します。
Contents
マレットフィンガーとは
マレットフィンガーとは、外傷により指の第一関節が木槌(マレット)のように曲がった状態になるのでそう呼ばれています。
分類としては、腱損傷が原因で起きる腱性マレットと、骨折が原因で起きる骨性マレットに分類されます。
マレットフィンガーの分類

①腱性マレットフィンガー(指を伸ばす腱が断裂した状態)
腱の断裂は腱の断端が近づく様に固定します。腱の癒合には時間がかかる為、個人差はありますが、6週から8週位の固定期間が必要になります。

②骨性マレットフィンガー・骨片小(腱が断裂せず腱の付け根が裂離骨折した状態)
骨片転位(骨のずれ)があれば骨の位置を正しい位置に戻すための整復動作を行います。腱性のマレットフィンガーに比べては固定期間が短く済みます。骨片の骨折端同士が近づく様に固定をします。

③骨性マレットフィンガー・骨片大(腱が断裂せず腱の付け根が骨折した状態)
②番の骨性マレットフィンガーとは違い裂離された骨片が大きい為、第一関節の脱臼を伴います。
この、脱臼を伴う場合でも固定角度を工夫することにより手術をしないで済みます。
やはり、この場合でも骨片の骨折端同士が近づく様に固定をします。
ただ、②の場合に比べて固定角度に気をつけます。
当院に来院したマレットフィンガーの症例
当院に実際に来院された症例をご紹介致します。
年齢
50代
性別
男性
受傷原因
バス停で転倒して手をついた時に受傷する。
来院までの経緯
受傷後に湿布を貼って様子を見ていたけど痛みと変形が引かない為に、受傷後に3週間経過してから来院されました。
当院初診時

初診時にエコー検査を行い骨折が無い事を確認しました。腫脹や痛みなどの症状もふまえて、腱性のマレットフィンガーであると判断し、患者さんに説明しました。
腱の断端を寄せる操作を行い指を過伸展位(指をそらした状態)でテーピングを用いて固定具で固定しました。
経過
施術開始が受傷後3週間と言う事も有り、組織の回復に関して不安な面もありましたが、無事、腱も癒合して伸びなかった第一関節もしっかりと伸びるようになりました。
受傷から来院までの期間があいていたため、通常より長めの固定期間になりましたが腱を癒合させることを最優先としました。
この方の場合は約7週間の固定をしたのちに第一関節のリハビリを開始しました。
固定期間中は微弱電流による組織の回復をはかったり、血流を良くするための施術を行います。
マレットフィンガーのまとめ
手術するかしないかの選択肢は患者さんにありますが、私の意見としては、手術しないで済めば手術しない方が、手術によっておこるリスクを回避できるので良いのではないかと思います。
骨性のマレットフィンガーで行われる手術法は、ピンを骨に2本さして骨折した骨片を固定をする石黒法という術式が一般的です。
この方法ですと、骨片を止める時に関節面にピンを指すので関節面を痛めることが有り、第一関節の可動域が悪くなる事もあるとされています。
脱臼してしまうマレットフィンガーでも固定の方法に気をつければ手術をしなくても十分に対応が可能です。
たかが突き指、されど突き指です。
場合によっては、大きな損傷となっていますので早期の受診を心がけましょう。
お困りの際は、牛久市の蛯原接骨院にご相談・またはご来院下さい。