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突然の強い痛みと、腕が動かない!?それは肩関節脱臼かもしれません。
「肩をぐっと上げた瞬間、ズキンとした激しい痛みを感じて、腕が全く上がらなくなってしまった…」
こんな経験をされたことはありませんか?
これは、「肩関節脱臼」と呼ばれる怪我の典型的な症状です。スポーツ中、ふとした瞬間に腕をひねったり、転んで手をついた時に肩に強い衝撃が加わったり、時には何気ない日常の動作がきっかけで起こることもあります。
肩関節は、私たちの体の中でも特に自由に大きく動くことができる関節ですが、その反面、少しのきっかけで本来あるべき場所からずれてしまう(外れてしまう)ことがあります。
この記事では、肩関節脱臼のメカニズムから、怪我をした際の適切な対応、そして牛久市の蛯原接骨院で行っている整復処置や痛みの緩和、その後の回復に向けたケアまでを、皆様が抱える疑問や不安に寄り添いながら、分かりやすく解説していきます。
当院は、皆様が一日も早く痛みから解放され、再び活動的な日常を送れるよう、専門的な知識と経験に基づいた丁寧な施術を提供いたします。
肩の不調でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みいただき、蛯原接骨院にご相談ください。
第1章:肩関節脱臼とは?そのメカニズムと原因を徹底解説
1-1. 驚異の可動域を支える、繊細な肩関節の構造
肩関節は、非常に自由度の高い動きを可能にする「球関節」です。この自由度の高さは、ボールのように丸い上腕骨の先端(上腕骨頭)が、受け皿である肩甲骨のくぼみ(関節窩)に浅くはまっていることに由来します。この浅い構造ゆえに、様々な方向への動きが可能になる反面、少し外力に弱い側面も持ち合わせています。

上腕骨頭: 球状の骨の先端部分です。
関節窩: 肩甲骨にある、上腕骨頭を受け止める浅いくぼみです。
関節唇: 関節窩の周りにある軟骨性の組織で、関節窩を深くし、安定性を高める役割を果たします。
腱板(ローテーターカフ): 肩関節の周りを囲むように付着する筋肉群で、上腕骨頭を関節窩に引きつけ、回旋運動や挙上運動をサポートします。腱板の損傷は、脱臼のリスクを高めることがあります。
関節包: 関節全体を包み込む袋状の組織で、関節の潤滑や安定に関与します。
これらの構造が複雑に連携し、私たちの肩は滑らかで力強い動きを実現しています。しかし、これらの安定化機構が許容範囲を超える外力を受けた際に、関節が本来の位置から外れてしまう状態が「肩関節脱臼」です。
1-2. なぜ肩は外れやすいのか?脱臼を誘発する外的・内的要因
肩関節脱臼が発生する主な原因は、その構造的な特徴と、外部からの強い力です。
主な外的要因:
スポーツによる外傷:
ラグビー、アメフトなど接触プレーの多いスポーツ: 相手選手との激しい接触や、無理な体勢でのプレー中に、肩に強い外力が加わることがあります。特にタックルされた際などに、腕が不自然な方向に引っ張られることで発生しやすいです。
野球、バレーボール、テニスなどの投球・打撃動作を伴うスポーツ: 肩を高速で回旋させる動作は、肩関節に大きなストレスを与えます。無理なフォームや疲労が蓄積すると、脱臼のリスクが高まります。
柔道、空手などの格闘技: 投げ技や関節技の際に、肩に予期せぬ力が加わることで発生することがあります。
転倒:
階段からの転落や、屋外での転倒時に、手をついた際に肩に強い衝撃が伝わることで発生します。特に高齢者の方の場合、骨粗鬆症などを合併していると、骨折を伴うリスクも高まります。
日常生活での事故:
重いものを無理に持ち上げようとした際、不意な動作で肩を痛めることもあります。
主な内的要因:
過去の脱臼歴: 一度脱臼した肩は、関節包や靭帯、関節唇などが損傷しているため、再脱臼しやすくなります。これは「反復性肩関節脱臼」と呼ばれ、特に若いアスリートに多く見られます。
関節の不安定性: 生まれつき関節が緩い方や、関節包・靭帯が緩んでいる方は、脱臼を起こしやすい傾向があります。
筋力低下: 特に肩を安定させる腱板筋(ローテーターカフ)の筋力低下は、上腕骨頭の安定性を低下させ、脱臼のリスクを高めます。
柔軟性の不足または過度な柔軟性: 筋肉や関節包の柔軟性が極端に低い場合、あるいは逆に過度に柔らかい場合も、脱臼の誘因となることがあります。
1-3. バンカート病変とヒルサックス病変:脱臼が関節や骨に与える影響と骨折の可能性
肩関節が外れる(脱臼する)際、関節を安定させている軟骨(関節唇)や、関節を包む袋(関節包)が、肩甲骨の受け皿(関節窩)の縁から剥がれたり、傷ついたりすることがあります。これらの損傷は、脱臼の向きや、怪我の状況によって、骨にも影響を与えることがあります。
バンカート病変(Bankart lesion)とは?
主に肩が前方に外れた(前方脱臼)時に起こりやすい損傷です。
関節唇が、関節窩の前の部分から剥がれてしまいます。
これにより、関節窩の縁がギザギザになり、肩関節が不安定になって、繰り返し外れやすくなる(反復性脱臼)原因の一つとなります。
場合によっては、関節唇と一緒に、関節窩の骨の一部も剥がれてしまう「骨性バンカート病変」を起こすこともあり、これが関節の不安定性をさらに高めます。
ヒルサックス病変(Hill-Sachs lesion)とは?
こちらも前方脱臼の際に多く見られます。
肩が外れるとき、上腕骨の先端部分(上腕骨頭)が、肩甲骨の関節窩の後ろ上方の縁に強くぶつかることで生じる、上腕骨頭の後ろ側のくぼみ状の骨折です。
この骨のへこみが、関節を元の位置に戻そうとする際に、関節窩の縁に引っかかってしまい、整復が難しくなることがあります。
これらの関節唇や骨への損傷の有無や程度を正確に把握することは、今後の治療方針を決める上で非常に重要です。
肩関節脱臼に伴う骨折の可能性
肩関節脱臼の際に、骨折を合併することもあります。特に以下のケースでリスクが高まります。
バンカート病変に伴う骨折: 上記の「骨性バンカート病変」のように、関節窩の骨が剥がれるケースです。
ヒルサックス病変: 上腕骨頭の後ろ側にできる骨折です。
上腕骨近位端骨折: 高齢者の方など、骨が弱くなっている場合に多く見られます。転倒した際に肩に伝わる衝撃で、上腕骨の付け根が折れることがあります。これは、脱臼と同時に起こりやすい骨折の一つです。
肩鎖関節の損傷: 肩のすぐ上にある肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨をつなぐ部分)の靱帯が傷つき、重症な場合は骨折を伴うこともあります。
骨折のリスクが高まる要因:
高齢者: 骨密度が低下しているため、軽い力でも骨折しやすくなります。
過去の脱臼歴: 一度脱臼したことがあると、関節が不安定になっているため、わずかな力でも再脱臼や骨折を起こしやすくなります。
スポーツ中の強い衝撃: 接触の多いスポーツや、肩に強い衝撃が加わるような状況では、骨折のリスクが高まります。
これらの骨折の有無は、レントゲン検査やMRI検査、そして超音波エコー検査などによって正確に診断されます。骨折を合併している場合、整復の方法や固定方法、その後のリハビリテーションの進め方が変わるため、正確な診断は非常に重要です。牛久市の蛯原接骨院では、必要に応じて顧問医と連携し、正確な診断に基づいた最善の治療を目指します。
1-4. 誰に起こりやすい?年代別・スポーツ別リスク
肩関節脱臼は、どの年代にも起こり得ますが、特にリスクが高い層が存在します。
若年層(特に10代後半~20代): スポーツ(特に接触競技や投球動作のある競技)での外傷が多く、一度脱臼すると再発しやすい傾向があります。バンカート病変などを伴うことも少なくありません。
高齢者(60代以上): 転倒による骨折を伴う脱臼が増加します。骨粗鬆症の有無も関係してきます。
スポーツ別に見ていくと、ラグビー、アメリカンフットボール、柔道などの接触が多い競技、野球、バレーボール、テニスなどの肩を大きく使う競技で発生率が高いことが知られています。
第2章:肩関節脱臼の「これって脱臼?」症状と、やってはいけない対応
2-1. 突然の激痛だけではない!肩関節脱臼の典型的な症状
肩関節脱臼が発生すると、以下のような症状が現れることが一般的です。
激しい痛み: 脱臼した瞬間に、経験したことのないような強い痛みが走ります。
肩の変形: 肩の丸みを帯びた自然なシルエットが失われ、ゴツゴツとした骨の感触を感じたり、肩が前に突き出ているように見えたりします。いわゆる「角張った肩」に見えることがあります。
動かせない・可動域制限: 痛みのため、腕を上げる、回すといった動作が全くできなくなります。
しびれや感覚異常: 脱臼時に近くの神経が圧迫されたり損傷されたりすることで、腕や指にしびれやピリピリとした感覚が生じることがあります。
腫れや内出血: 関節の周りの組織が損傷されることで、腫れや内出血(皮下出血斑)が見られることがあります。
2-2. 「早く元に戻さなきゃ!」は危険信号:やってはいけない対応
肩関節が外れたとわかると、「自分で何とかしよう」「すぐに元の位置に戻さなければ」と焦ってしまうかもしれません。しかし、自己判断での無理な整復は、状況を悪化させる危険性が非常に高いため、絶対に避けるべきです。
絶対にやってはいけないこと:
無理に肩を動かそうとする: 強い痛みを伴うため、さらに組織を損傷したり、神経や血管を傷つけたりする可能性があります。
素人が肩を引っ張って戻そうとする: 専門知識がない状態での無理な整復は、骨折の誘発や、関節包・靭帯のさらなる損傷を引き起こすリスクがあります。
温める: 脱臼直後は炎症が起きているため、温めると炎症が悪化する可能性があります。
マッサージをする: 痛む箇所を不用意にマッサージすることで、損傷を広げる可能性があります。
2-3. 怪我をした時の正しい初期対応:まずは落ち着いて、安全を確保
肩関節脱臼の疑いがある場合は、以下の対応を行いましょう。
安静にする: 無理に動かさず、楽な姿勢で安静にしてください。
冷やす(アイシング): 痛む部分にタオルなどでくるんだ保冷剤や氷嚢を当て、15〜20分程度冷やします。これを数回繰り返します。凍傷を防ぐために、直接肌に当てないように注意してください。
固定する: 三角巾や包帯などを使って、腕を体に軽く固定すると、痛みが和らぐことがあります。腕を無理に上げず、楽な位置で固定することが大切です。
速やかに専門家へ相談: できるだけ早く、医療機関を受診してください。
第3章:肩関節脱臼の「整復」とは?専門家による適切な処置の重要性

3-1. 「整復」のプロセス:専門的な手技による関節の戻し方
肩関節脱臼における「整復」とは、外れた上腕骨頭を、本来の位置である関節窩に戻す処置のことです。これは、専門的な知識と技術を要する処置であり、多くの場合、痛みを伴います。
整復を行う際には、患者さんの状態を正確に把握し、最も安全かつ効果的な方法を選択する必要があります。
当院では、整復操作における患者様の痛みや負担を軽減することを最重視しています。過去の患者様からの声としても、「痛くなかった」「もう終わったの?」といった感想をいただくことも多いです。これは、学校で習う教科書的な方法とは異なり、当院が独自に習得している技術です。
3-2. 一般的な整復法と、当院のアプローチの違い
整復には様々な方法があり、脱臼の方向や患者さんの状態によって使い分けられます。ここでは一般的な方法とその特徴、そして当院のアプローチの違いをご紹介します。
ヒポクラテス法: 患者さんに仰向けに寝ていただき、脇の下に施術者の踵(かかと)を当て、脱臼した上肢を動かしながら整復を試みます。この方法は、整復時に痛みを伴うことが多く、また、踵を当てる際の力の加減によっては二次的な損傷を招く可能性も指摘されています。
コッヘル氏法: こちらも患者さんに寝ていただき、前腕を持ち、脱臼した上肢を動かしながら整復を試みます。この方法も、整復時の痛みや、それに伴う二次損傷のリスクが懸念される場合があります。
前方挙上法: 患者さんが座った状態で、脱臼した上肢を動かしながら整復を試みる方法です。
これらの一般的な方法と比較して、当院で行う整復法は、患者様に大きな負担をかけることなく、外れた関節を戻すことが可能です。痛みを最小限に抑えつつ、二次的な損傷のリスクも低減させることを目指しています。
3-3. なぜ自己整復は危険なのか?専門家が行う理由
繰り返しになりますが、自己整復は非常に危険です。その理由は以下の通りです。
痛みの増強と組織損傷: 無理な力で動かすと、関節包、靭帯、筋肉、あるいは骨折などを引き起こす可能性があります。
神経・血管損傷のリスク: 肩関節の周囲には重要な神経や血管が走行しています。誤った整復操作は、これらの損傷を招き、しびれや麻痺、血行障害などを引き起こすことがあります。
脱臼の悪化: 前方脱臼だと思っていても、実は後方脱臼であったり、骨折を合併していたりする場合があり、誤った対応はさらに状況を悪化させる恐れがあります。
専門家が評価を行う理由
脱臼の処置を専門家に任せるべき理由は、その正確な評価能力にあります。
脱臼の方向や合併症の正確な評価: 関節がはずれた(脱臼した)際、そのはずれた方向や、骨折といった他の怪我を併発していないかなどを正確に見極めるには専門的な知識と経験が必要です。
固有の症状と超音波エコーによる評価: 脱臼には、関節が本来の位置からずれることによって生じる特有の痛みや変形といった症状があります。 専門家はこれらの症状を詳しく診察します。
さらに、超音波エコーを用いることで、関節の内部の状態や周囲の軟部組織(靭帯や筋肉など)の損傷を詳細に評価することが可能です。 これにより、より的確な診断と処置方針の決定が可能となります
このような専門的な評価を経て、初めて安全で適切な整復処置が行われます。
第4章:牛久市の蛯原接骨院での肩関節脱臼へのアプローチ:痛みの緩和から機能回復まで
4-1. あなたの肩の状態を正確に把握:丁寧な問診と検査
当院では、肩関節脱臼の施術において、まず患者様一人ひとりの状態を正確に把握することから始めます。
詳細な問診: いつ、どこで、どのような状況で肩を痛めたのか、現在の痛みやしびれの程度、過去の怪我の有無など、詳細な情報をお伺いします。これにより、脱臼の原因や状況を正確に理解します。
視診・触診: 肩の変形の有無、腫れや熱感、押すと痛みを感じる箇所(圧痛点)などを実際に確認します。
超音波エコー検査: 超音波エコーを用いて、筋肉などの軟部組織の状態をリアルタイムで観察します。これにより、骨折の合併が疑われる場合や、腱板の損傷がないかを詳細に把握し、最適な施術計画を立てるための重要な情報とします。
4-2.安全かつ負担の少ない徒手整復
詳細な評価に基づき、患者様の状態に最も適した、安全かつ効果的な整復方法を選択し、実施いたします。
当院では、整復時の痛みを極力起こさないよう細心の注意を払い、可能な限り痛みを軽減し、肩関節への負担を最小限に抑えるための整復操作を行うことを常に心がけております。
整復のコツは、患者さんにいかにリラックスして脱力していただくかにあります。整復処置においては、多少の痛みを伴うこともありますが、患者様の状態を考慮し、スムーズに処置が進むように配慮いたします。
当院で行う肩関節脱臼の徒手整復法は、身体への負担が少ないことが特徴です。そのため、多くの患者様から「いつ処置が終わったのか分からない」「痛みが少なくてびっくりした」といったお声をいただいております。
4-3. 整復後の安定化:適切な固定方法と留意点
肩関節が外れてしまった状態(脱臼)を整復し、元の位置に戻した後、再び外れないようにしっかりと固定することが大切です。この固定は、関節を落ち着かせ、周囲の組織が回復するのを助けるための重要な処置です。
固定の目的
関節を安定させ、再び外れるのを防ぎます。
動かせる範囲を制限することで、痛みを和らげ、傷ついた組織の修復を助けます。
一般的な固定方法(前方脱臼の場合)
外旋位固定: 肩が前方に外れた場合、一般的に肩関節を少し外側に開いた状態(外旋位)で固定するのが効果的とされています。この姿勢は、関節を支える組織が最も安定しやすいと考えられているためです。固定には、三角巾や専用の肩用サポーター、アームスリングなどが使用されます。
固定方法を選択する上での注意点
個人に合わせた固定: 全ての患者様に同じ外旋位固定が最適とは限りません。脱臼した方向、骨折などの合併症の有無、そして何よりも患者様ご自身の痛みや、固定した際の心地よさを考慮して、最適な固定方法を選択します。場合によっては、腕を体に沿わせた状態(内旋位)での固定がより適していることもあります。
固定期間の目安と期間中の注意
固定期間: 固定する期間は、脱臼の程度、合併症の有無、年齢などによって異なりますが、一般的には2週間から4週間程度が目安となります。この期間は、医師や施術者の指示に従い、無理に動かさないように安静に保つことが大切です。
固定中の運動: 固定されている間も、指先や肘は動かすことができます。これらの関節を積極的に動かすことで、血行を促進し、関節が硬くなるのを防ぐことが推奨されます。固定を自分で勝手に外したり、緩めたりすることは絶対に避けてください。
後療法における医師の同意について
なお、整復・固定後のリハビリテーション(後療法)については、医師の同意が必要となります。もし骨折の合併が疑われる場合も同様に、必ず医師の指示に従って安全に進める必要があります。当院では、顧問医との連携を密にし、患者様にとって最善の回復プロセスをサポートいたします。
整復後の適切な固定は、その後の回復過程における最初の重要なステップです。当院では、患者様お一人おひとりの状態を丁寧に確認し、最も安全で効果的な固定方法を選び、適切な期間管理を行います。
4-4. 痛みの緩和と回復を促進する物理療法
整復・固定期間中や、その後のケアにおいては、痛みの緩和と組織の回復を促進するために、様々な物理療法機器を活用します。
低周波療法: 低い周波数の電気刺激を用いることで、筋肉のコリをほぐし、血行を促進します。これにより、痛みの緩和や筋肉の回復を助けます。
微弱電流療法: 人体が本来持っている微弱な電流に似た電流を用いることで、痛みの伝達を抑制し、組織の修復を促す効果が期待できます。
干渉波療法: 異なる周波数の電流を体内で干渉させることで、深部まで電気刺激を届け、筋肉の緊張緩和、血行促進、痛みの軽減に効果を発揮します。
マイクロ波療法: マイクロ波という電磁波を用いて、体の深部を温めることで血行を促進し、組織の回復を助けます。また、痛みの緩和にも効果が期待できます。
これらの物理療法は、痛みを和らげながら、低下した関節機能の回復をサポートし、活動的な日常への復帰を目指す上で非常に有効な手段となります。
第5章:回復へ向かうために:「痛み」の管理とケアの進め方
5-1. 整復後の痛みの管理と回復へのアプローチ
肩関節の整復処置が完了すると、多くの場合、脱臼による強い痛みは和らぎます。しかし、処置直後や、処置後数時間から1日程度、関節の周囲に鈍い痛みや違和感が残ることがあります。この段階での適切な痛みの管理は、その後のスムーズな回復のために重要です。
冷却(アイシング)の適切な実施
整復直後や痛みが気になる場合には、冷やすことが炎症を抑え、痛みを軽減するのに役立ちます。
ただし、冷やしすぎると血行が悪くなる可能性もあるため、1回の冷却時間は15~20分程度とし、間に休憩を挟むなど、間隔を空けて行うことを推奨します。凍傷を防ぐために、必ずタオルなどで包んでから患部に当ててください。
鎮痛剤の使用について
痛みが強い場合は、鎮痛剤の使用も有効な手段となります。ご希望の方は、当院の顧問医にて処方を受けることが可能ですので、お申し出ください。
自己判断での長期的な鎮痛剤の使用は避け、必ず医師にご相談ください。
楽な姿勢の保持
痛みを引き起こすような無理な動きや姿勢は避け、肩関節に負担のかからない楽な姿勢で過ごすように心がけましょう。
これらの痛みの管理方法を適切に行うことで、回復に向けた基盤を整えることができます。
5-2. 固定期間中の過ごし方と注意点
肩関節を固定している期間は、無理な動きは厳禁ですが、全く動かさないのではなく、回復を妨げない範囲での動きを取り入れることが、関節の柔軟性を保ち、その後の回復をスムーズにするために重要です。
固定されている部位以外での運動: 肩関節が固定されていても、指、手首、肘などの関節は動かすことができます。これらの関節をこまめに曲げ伸ばしすることで、血行を促進し、関節の硬化を防ぐ効果が期待できます。
肩甲骨の意識的な動き: 腕全体を大きく動かすことは制限されますが、肩甲骨を意識して動かす体操は、肩周りの血行を促し、筋肉の緊張を和らげるのに役立つ場合があります。具体的には、肩甲骨を寄せる、下げる、上げるなどの軽い動きが考えられます。
避けるべきこと: 固定されている腕を無理に引っ張る、重い物を持ち上げる、肩に強い衝撃が加わるような行為は、せっかく整復された関節を再び不安定にさせたり、損傷を悪化させたりする可能性があるため、絶対に行わないでください。
5-3. 回復段階におけるケアの重要性
固定期間が終了したら、関節の動きや筋力を回復させるための本格的なケアが始まります。この段階での適切なケアは、肩関節の機能回復と安定性向上に不可欠です。
可動域訓練:
振り子運動(コッドマン体操): 体を前に倒し、腕の力を抜いて、重力に任せて腕を前後・左右にゆっくりと振る運動です。これにより、肩関節周囲の組織を無理なく伸ばし、徐々に可動域を広げていきます。軽い違和感を感じることもありますが、専門家の指導のもと適切に行うことが大切です。
壁を使った運動: 壁に手をついた状態から、徐々に腕を壁に沿って上げ下げしていく運動です。支えがあるため、自分の筋力だけに頼らず、安全に可動域を広げることを目指します。
筋力強化訓練:
腱板(ローテーターカフ)の強化: 肩関節の安定性を保つために重要な腱板の筋肉を、セラバンドや軽いダンベルなどを用いて強化します。特に、腕を外側に回す動き(外旋)、内側に回す動き(内旋)、腕を横に上げる動き(外転)など、様々な方向へのトレーニングを行います。
肩甲骨周りの筋肉の強化: 肩甲骨が安定しないと、肩関節の動きもスムーズになりません。菱形筋や僧帽筋といった、肩甲骨を支える筋肉を鍛えるエクササイズを取り入れることで、肩関節全体の安定性を高めます。
体幹トレーニング: 肩関節のパフォーマンスは、体の中心である体幹の安定性とも密接に関連しています。プランクなどの体幹トレーニングを行うことで、全身のバランスを整え、肩への負担を軽減し、より効率的な動きをサポートします。
日常生活や活動への復帰:
日常生活動作の回復: まずは、着替え、洗顔、食事といった日常的な動作が痛みなくスムーズに行えるようになることを目標とします。
スポーツや仕事への段階的な復帰: スポーツや仕事への復帰を目指す場合は、段階的に運動の強度や内容を上げていきます。焦って急激な負荷をかけると、再発のリスクが高まるため、専門家の指導を受けながら、慎重にプロセスを進めることが極めて重要です。
5-4. 再発予防への取り組みと専門家の役割
肩関節脱臼は、一度経験されると、受傷時に関節を支える組織(関節唇や靭帯など)に損傷が生じている場合、再発しやすくなることがあります。再発を防ぎ、健康な肩関節を維持するためには、ご自身の継続的な取り組みと、専門家によるサポートが非常に重要です。
継続的なケアの重要性
回復後も、失われた筋力や柔軟性を維持するために、日頃から肩周りのストレッチや軽い筋力トレーニングを継続することが大切です。これにより、肩関節の安定性を保ち、将来的なリスクを低減させることができます。
正しい体の使い方を習得する
スポーツや日常生活を送る上で、肩に過度な負担をかけない体の使い方を意識することが重要です。専門家は、個々の動作を丁寧に分析し、肩への負担が少なく、より効率的な体の使い方を指導することができます。
再脱臼を防ぐための腕の使い方:
特に習慣性肩関節脱臼の方は、腕を急に、または無理に大きく上げる動作を避けることが重要です。洗濯物を干す際や、物を高い場所から取る際には、片方の手だけでなく、両手をバランス良く使ったり、踏み台を使ったりするなど、肩への負担を分散させる工夫をしましょう。
腕を回すような動作も、急な動きではなく、ゆっくりとコントロールされた範囲で行うように意識してください。
重いものを持つ際は、肩だけでなく体全体を使って持ち上げるようにすると、肩への負担が軽減されます。
専門家による継続的なサポート
再発予防のためには、定期的に専門家のチェックを受け、ご自身の状態に合わせたケアの見直しを行うことが効果的です。専門家は、お一人おひとりの状態に合わせた最適なトレーニングメニューの提案や、体の使い方に関する具体的なアドバイスを提供し、再発防止に向けたサポートを行います。
定期的なチェックとメンテナンス(習慣性肩関節脱臼の方へ)
牛久市の蛯原接骨院では、習慣性肩関節脱臼の方へ、再発予防に向けたアドバイスや、必要に応じたメンテナンス施術を提供しております。
以下のような方は、ぜひ蛯原接骨院にご相談ください。
過去に痛みを伴う整復経験がある方
- 習慣性肩関節脱臼でお悩みの方
もし、肩関節脱臼が疑われる急なケガでお困りの場合、「救急に電話したけれど、肩関節脱臼の専門的な処置ができる先生がいなかった」というような状況でも、どうぞお気軽にご連絡ください。 当院では、夜間や休日でも、可能な限り患者様のご都合に合わせた対応を心がけております。
肩関節脱臼の症例:70代女性のケース
患者様の情報: 70代 女性
過去の症状: 以前から肩が外れやすい(習慣性肩関節脱臼)傾向がありました。
今回のケガの状況:
ある日、ご自宅で洗濯物を干そうと右手を挙げた際に、突然、肩に激しい痛みが生じ、腕が動かせなくなりました。普段から肩が外れやすい感覚はあったものの、今回ほどの強い痛みは初めての経験でした。
当院での対応:
来院と初期評価:
ご家族からの連絡を受け、当院にご来院いただきました。まず、患者様の状態を詳しくお伺いする問診を行いました。次に、肩の変形や腫れ、熱感などを目で見て確認する視診、痛む箇所を優しく触って確認する触診を実施しました。詳細な検査:
脱臼の疑いが強かったため、さらに詳しい検査を行いました。脱臼による特有の痛みや関節のずれといった症状を確認するとともに、超音波エコーを用いて肩の内部の状態をリアルタイムで観察しました。これにより、骨折などの合併症がないかを慎重に確認しました。幸い、この患者様の場合、骨折が合併していることはありませんでした。整復処置と固定:
これらの詳細な評価に基づき、患者様の状態に最も合った、安全で効果的な整復方法を選択しました。整復処置は、痛みを最小限に抑えるよう丁寧に行いました。整復後、再脱臼を防ぐために、適切な固定を行い、今後の生活を送る上での注意点や、回復に向けたアドバイスをお伝えしました。
この症例から学べること:
このケースのように、過去に脱臼を繰り返している方や、ご高齢で骨が弱くなっている可能性のある方は、脱臼と同時に骨折などを合併しているリスクも考えられます。そのため、専門家による正確な評価と、その状態に合わせた適切な処置を受けることが、スムーズな回復のためには非常に重要となります。
まとめ:牛久市の蛯原接骨院で、肩の痛みと不調を改善へ
肩関節脱臼は、適切な処置と丁寧なケアを行うことで、痛みを和らげ、失われた機能を回復させることが十分に可能です。
もし、「突然の強い痛みにパニックになった」「自分で何とかしようとして状態を悪化させないか不安だった」「お子さんが怪我をして、どのようなケアをすれば良いか分からない」といったお悩みをお持ちでしたら、牛久市の蛯原接骨院にぜひご相談ください。
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた丁寧な施術を提供いたします。痛みの緩和と、皆様が活動的な日常へと復帰されることを力強くサポートします。
まずは、お気軽にご相談ください。
【お問い合わせ】
お問い合わせは下記よりお願いいたします。
【接骨院詳細】
【蛯原接骨院】
住所: 〒300-1222 茨城県牛久市南2-1-12
電話番号: 029-872-2653
診療時間:
曜日 午前 午後 月~金 8:00~12:00 15:00~20:00 土 8:00~12:30 休診 日 休診 休診
アクセス: JR常磐線「牛久駅」徒歩5分
駐車場: 5台分有り
【監修】
蛯原 吉正(柔道整復師)
詳しいプロフィールはこちらのページをご覧ください。
免責事項:
本ブログ記事は、肩関節脱臼に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的な診断、治療、またはアドバイスに代わるものではありません。記事の内容は、執筆時点での専門知識に基づいていますが、最新の医学的見解とは異なる場合があります。
肩関節脱臼の症状が見られる場合は、自己判断せず、速やかに医療機関(整形外科など)を受診し、医師の診断と指示に従ってください。当院は、医療機関との連携を図りながら、施術を提供いたします。
本記事の利用により生じた、いかなる直接的または間接的な損害についても、当院は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。