長引く顎の痛み、もう諦めない。顎関節症の多様な原因と当院の新しいアプローチ

長引く顎関節症は、食事や会話の楽しみを奪い、多くの方を悩ませています。マウスピースや顎周りのマッサージを試してもなかなか改善が見られない場合、その症状の源流は、顎そのものではなく、身体の思わぬ場所にあるのかもしれません。

この記事では、長年顎の不調に悩む方々に向けて、これまで見過ごされてきたかもしれない多様な要因を一つひとつ深掘りしていきます。具体的には、

  • 長年の癖が招く姿勢の乱れ

  • 首や肩の筋肉の過緊張(トリガーポイント)

  • ストレスが引き起こす自律神経の乱れ

  • そして、それらの背景にある「脳疲労」

といった要因が、どのように連鎖して顎の症状につながるのかを詳しく解説します。

さらに、これらの要因に対して当院がどのように身体全体からアプローチするのか、その具体的な施術法についてもご紹介します。読み終える頃には、ご自身の症状に対する新しい視点が生まれ、次の一歩を踏み出すための具体的な道筋が見えるはずです。

Contents

あなたの顎の悩み、どれに当てはまりますか?顎関節症の代表的な症状

食事や会話のたびに感じる顎の違和感。「そのうち治るだろう」と思っていても、不快な症状が続くと、日々の生活の質にも影響を及しかねません。まずは、顎関節症の代表的な症状をご自身でチェックしてみましょう。

こんなサインを見逃さないで

顎やこめかみの痛み

顎関節症の最も代表的な症状の一つが「痛み」です。

  • 口を開けたり閉じたりするときに、顎の付け根(耳の前あたり)が痛む。

  • 硬いものを噛んだときに、こめかみや頬のあたりに痛みを感じる。

  • 何もしなくても、顎周辺がズキズキと痛む。

このような痛みは、顎関節やその周りの筋肉に過度な負担がかかっているサインです。

口が開きにくい(開口障害)

以前はスムーズに開いていた口が、思うように開かなくなるのも特徴的な症状です。

  • 指を縦にして2本分(約3cm)も口が開かない。

  • 無理に開けようとすると、痛みが強くなる。

  • まっすぐ開かず、左右どちらかに顎がずれてしまう。

開口障害が悪化すると、食事や会話といった日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

より詳しい情報はこちら口が開かない!顎関節症による開口障害のレベル別セルフチェックと対策

顎を動かすと音がする(関節雑音)

口を開け閉めする際に、耳の前あたりで音がする症状です。

  • カクッ、コキッという音(クリック音): 顎関節の中にある軟骨(関節円板)がずれている可能性があります。

  • ジャリジャリ、ミシミシという音(クレピタス音): 関節の骨が変形している可能性も考えられます。

音がするだけですぐに問題となるわけではありませんが、痛みを伴う場合は注意が必要です。

より詳しい情報はこちら顎の「カクカク音」、放置して大丈夫?クリック音・クレピタス音の原因と対処法を解説

関連して起こりうる身体の不調(頭痛・肩こり・めまいなど)

顎の不調と、頭痛や肩こりは無関係だと思っていませんか?

実は、頑固な首や肩の凝りが、顎周りの筋肉の緊張を招き、顎関節の動きに影響を及ぼすことは少なくありません。

さらに、顎の不調、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴りといった症状は、それぞれが独立した問題なのではなく、ストレスや長時間のデスクワークによる姿勢の乱れなど、共通の根本原因から同時に発生しているケースも多く見られます。

つまり、顎の不調を感じる方は、それらの症状も併発しやすい状態にあると言えるのです。

より詳しい情報はこちら → 【要注意】顎の不調と頭痛・肩こり|隠れた共通の原因とは?

なぜあなたの顎は痛むのか?考えられる6つの原因

顎関節症の症状は、決して一つの原因だけで起こるわけではありません。様々な要因が複雑に絡み合って発症することがほとんどです。 ご自身の生活習慣を振り返りながら、考えられる原因を探ってみましょう。

原因は一つではない。複合的な要因を理解する

噛み合わせや歯ぎしり・食いしばりの影響

上下の歯の噛み合わせが悪いと、顎の関節が不安定になり、特定の筋肉に負担が集中しやすくなります。 また、睡眠中の歯ぎしりや、日中に無意識に行っている食いしばり(TCH:上下歯列接触癖)は、顎の筋肉を常に緊張させ、顎関節に強い力を加え続ける大きな要因となります。

日常生活の癖(頬杖、うつ伏せ寝など)

何気なく行っている日常の癖も、顎への負担を蓄積させます。

  • 頬杖をつく

  • うつ伏せで寝る

  • 片方の歯ばかりで噛む

  • 猫背で長時間スマートフォンやPCを操作する

これらの癖は、顎を左右非対称な状態にしたり、首や肩の筋肉を介して顎関節に負担をかけたりします。

より詳しい情報はこちらその癖が顎の痛みを招く!今日からやめたい顎関節症を悪化させる日常習慣リスト

ストレスと自律神経の乱れによる影響

精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱す大きな要因です。自律神経は、身体を活動的にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」がバランスを取っていますが、ストレス下では交感神経が優位になり、身体は常に緊張状態に。

血管は収縮して血行が悪くなり、筋肉は硬直しやすくなります。この状態が顎周りで起こると、頑固な食いしばりを引き起こし、痛みの原因となります。


また、特に女性の場合は、生理周期や更年期といったホルモンバランスの変動が自律神経に影響し、症状が悪化するケースも見られます。

より詳しい情報はこちらストレスで顎が痛くなるのはなぜ?自律神経の乱れと食いしばりの深い関係
女性特有のお悩みはこちら【女性向け】顎の痛みとホルモンバランスの意外な関係

姿勢の乱れと顎の関連性

意外に思われるかもしれませんが、日常的な姿勢の癖が、巡り巡って顎関節に影響を与えることがあります。

例えば、猫背や頭部が前に突き出た姿勢(スマホ首)は、首や肩周りの筋肉に持続的な負担をかけ続けます。この過度な緊張が、顎を動かす筋肉にも伝わり、結果として顎関節に不自然な力がかかってしまうのです。

身体は一つのユニットとして機能しているため、体幹の安定性が失われ、首や肩の筋肉が正しく使えなくなると、その影響が顎にまで及ぶことは少なくありません。

より詳しい情報はこちら → その顎の痛み、姿勢が原因かも?スマホ首・猫背と顎関節症の深い関係

過去の外傷や事故の影響

過去に顔や顎を強くぶつけた経験、あるいは交通事故によるむち打ちなども、顎関節症の原因となることがあります。その時は何ともなくても、数年経ってから関節やその周辺組織に影響が現れるケースも少なくありません。

これまでの治療で満足できなかった方へ。当院独自の視点

「マウスピースを作ったけど、あまり変わらない」
「痛み止めを飲んでも、その場しのぎにしかならない」
「顎のマッサージをしても、すぐに痛みが戻ってしまう」

もしあなたがこのような経験をお持ちなら、それは顎「だけ」に注目したアプローチだったからかもしれません。当院では、顎の症状は「結果」であり、その「原因」は身体の他の部分にあると考えています。

マウスピース治療で変化がなかった方はこちらマウスピース治療で変化がなかった方へ|接骨院だからできる顎関節症へアプローチ

世界の最新動向と当院のアプローチ

実は、顎関節症治療の考え方は世界的に大きく進化しています。特にアメリカなどでは、「顎だけでなく、神経や筋肉を含めた全体の関係性を見直す」という考え方が主流になりつつあります。最新の動向は、**「①3D-CTなどで原因を精密に診断し、②微弱な電気(TENS)などで身体に優しくアプローチする」**という流れにあります。

これはまさに、「痛みの本当の原因を正確に見つけ出し、身体に負担をかけずに神経や筋肉の状態を整える」という、当院が大切にしているアプローチと一致します。

「痛みの引き金」を探し出すトリガーポイント療法とノーマライザ

当院のアプローチの核となるのが、トリガーポイントという考え方です。トリガーポイントとは、筋肉内にできた硬いしこりのようなもので、「痛みの引き金」とも呼ばれます。このトリガーポイントが、離れた場所に痛みを飛ばす「関連痛」という現象は、多くの顎の不調の謎を解く鍵となります。

実際に、顎関節症と首周りの筋肉の問題が密接に関連していることは、世界の公的な医療研究機関も指摘しています。アメリカの主要な医学研究機関であるアメリカ国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)は、顎関節症について次のように公表しています。

引用:「顎関節症(TMD)は、首の痛みや頭痛といった、他の痛みを伴う症状としばしば共存します。(中略)首の筋肉の問題が顎の症状の一因となる可能性があるため、多角的なアプローチが重要です。」
(引用元:アメリカ国立歯科・頭蓋顔面研究所 [NIDCR] 公開情報)

つまり、顎の不調と首の問題は切り離して考えることはできず、両方を見ることが重要であると、公的機関もその関連性を認めているのです。

そこで活躍するのが、特殊な治療器**「ノーマライザ」**です。この治療器は、世界の最新治療で重視されている「診断の精密化」と「身体に優しい治療」という2つの側面を兼ね備えています。

より詳しい情報はこちら顎の痛みの本当の原因?首や肩の「トリガーポイント」について詳しく解説

脳と身体の連携を促すBFI療法とは

もう一つの特徴的なアプローチが「BFI療法」です。長引く痛みや不調の背景には、ストレスによる「脳の疲れ」が関係しています。BFI療法では、ごく優しい刺激で脳の緊張を和らげ、乱れた自律神経の働きを穏やかにします。これは、世界の最新アプローチがストレス管理を重視し、神経系のバランスを取り戻そうとすることと深く関連しています。

より詳しい情報はこちらなぜ優しい刺激で身体が変わるのか?脳と身体をつなぐ当院のBFI療法

実際の改善例のご紹介

【症例1】デスクワークによる顎の痛みと頭痛に悩んでいたAさん(30代女性)の場合

ご来院時の症状:
数年前からの肩こりと頭痛持ち。最近、口を開けると右顎がカクっと鳴り、仕事に集中していると、こめかみが痛む。以前、マウスピース治療を試したが、あまり変化を感じられなかった。

当院でのアプローチと経過:
Aさんの場合、長時間のデスクワークによる姿勢の乱れが、首・肩、そして顎への過剰な負担を引き起こしていると考えられました。


まず、ノーマライザを用いて首から肩、側頭部にかけてのトリガーポイントを探索。すると、Aさんが頭痛を感じるこめかみ部分ではなく、首の付け根に強い反応がありました。このトリガーポイントを施術することで、初回で頭痛が軽減。並行してBFI療法を行い、ストレスによる全身の緊張と自律神経の乱れを整えました。


数回の施術で、まず肩こりと頭痛が和らぎ、それに伴って顎を動かす際のこめかみの痛みが軽減。継続することで、口を開けた際の「カクッ」という音も頻度が減り、口の開閉がスムーズになりました。現在は、良い状態を維持するため、定期的なメンテナンスに通われています。

【症例2】食事の際の痛みが改善し、口を大きく開けられるようになったBさん(20代女性)の場合

ご来院時の症状:
硬いものを食べると顎が痛むため、食事を楽しめない。あくびをするのも怖く、無意識に手で顎を抑えてしまう。身体全体の歪みも気になっていた。

当院でのアプローチと経過:
Bさんは、問診と検査の結果、身体の左右のバランスに乱れが見られ、それが顎への負担につながっている可能性が考えられました。


Bさんのケースでは、身体の土台を整えることを主眼に置き、ノーマライザによる全身のバランス調整と、BFI療法による脳へのアプローチを組み合わせました。 特に、骨盤周りや背骨の動きを整えることで、頭部が正しい位置に戻るように促しました。


初回施術後、Bさんは「身体が軽くなった」と感じられ、3回目の施術後には、食事の際の痛みが以前より気にならなくなったとのこと。継続的な施術と、後述するセルフケアを並行して行うことで、今では友人と食事に行くことも怖くなくなり、大きなあくびもできるようになったと喜ばれています。

施術と並行して行いたいセルフケアと日常生活の注意点

施術の効果を維持し、症状の再発を防ぐためには、ご自身の日常生活を見直すことも非常に重要です。

顎の負担を減らすための工夫

食事の選び方と食べ方

硬い食べ物や、大きく口を開ける必要がある食べ物は、痛みが強い時期は避けましょう。食事は左右の歯で均等に、ゆっくりと噛むことを意識してください。

より詳しい情報はこちら顎が痛い時の食事ガイド|おすすめレシピと避けるべき食べ物リスト

意識したい姿勢と癖の改善

日中に無意識に歯を食いしばっていないか意識する、デスクワーク中の姿勢を正す、頬杖などの癖をやめる、といった小さな心がけが、顎への負担を大きく減らします。

緊張を和らげるための簡単なケア

首や肩周りのストレッチ

仕事の合間などに、ゆっくりと首を回したり、肩を上げ下げしたりするストレッチを取り入れましょう。

筋肉を温めることの重要性

痛みが強い時や、顎がこわばっていると感じる時は、蒸しタオルなどで顎から首、肩周りを優しく温めましょう。血行が良くなることで筋肉の緊張が和らぎ、痛みの緩和が期待できます。

より詳しい情報はこちら専門家が教える自宅でできる簡単ストレッチ&マッサージ5選

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 施術は痛いですか?
A1. 当院の施術は、強い力を加えたり、バキバキと音を鳴らしたりするものではありません。特にBFI療法は、触れているのが分かる程度の非常にソフトな刺激です。 ノーマライザも微弱な電流を用いるため、痛みを感じることはほとんどありません。 痛みが不安な方でも、リラックスして受けていただけます。

Q2. どれくらいの期間通えばいいですか?
A2. 症状の程度や、いつからその症状があるかによって個人差があります。数回の施術で変化を感じる方もいらっしゃれば、長年の症状が定着している場合は、ある程度の期間が必要になることもあります。初回ご来院時に、お身体の状態をしっかりと見させていただき、最適な通院計画の目安をお伝えします。

Q3. マウスピースと併用できますか?
A3. はい、併用可能です。歯科医院で作成されたマウスピースは、主に就寝中の歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を守る役割があります。当院の施術は、身体のバランスや筋肉の緊張、脳の働きといった、マウスピースとは異なる側面にアプローチするため、併用することで相乗効果が期待できる場合もあります。

Q4. 予約は必要ですか?
A4. 当院では、お一人おひとりにしっかりと向き合う時間を確保するため、予約制となっております。お電話またはウェブサイトの予約フォームから、ご希望の日時をご連絡ください。

Q5. 健康保険は使えますか?
A5. 当記事でご紹介したノーマライザやBFI療法は、より質の高い施術を提供するための保険適用外の自費診療となります。 料金の詳細については、お気軽にお問い合わせください。

まとめ:一人で悩まず、まずはご相談ください

長引く顎関節症の症状は、食事や会話といった日常の楽しみを奪い、精神的にも大きな負担となります。しかし、あなたのその不調は、顎だけの問題ではないかもしれません。

身体全体のバランスの乱れや、首・肩のトリガーポイント、そしてストレスによる自律神経の乱れが、顎にサインとして現れている可能性があります。

当院では、症状が出ている部分だけを追うのではなく、あなたのお身体全体を一つの繋がりとして捉え、不調の根本原因にアプローチしていきます。これまでとは違う視点でご自身の身体と向き合ってみませんか?

まずは、あなたが今抱えているお悩みや不安を、私たちにお聞かせください。一緒に、快適な毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

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【監修】

蛯原 吉正(柔道整復師)

詳しいプロフィールはこちらのページをご覧ください。

免責事項

このブログ記事は、顎関節症に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。記載されている内容は、一般的な知見に基づくものであり、効果には個人差があります。症状の診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。当ブログの情報に基づいてご自身の判断で行ったいかなる行為に関しても、当院は一切の責任を負いかねます。

ABOUTこの記事をかいた人

蛯原接骨院院長です。怪我と痛みの専門家として、教科書通りの施術ではなく、代々伝わる伝統的な施術と最新の知識・技術を取り入れて、怪我の施術を行っています。また、茨城県内では数少ない、脳と痛みの関係に注目した痛みの治療を行っています。交通事故はもちろんの事、怪我や怪我の後遺症にお悩みの方、身体の痛みに対し、何をやっても良くならない・どこへ行っても良くならないという方を、一人でも多く救いたいという思いからブログでの発信を行っています。