転倒して肩や手をついてから数日。
「ただの打撲だと思っていたのに、痛みが引かない」「日に日に腫れがひどくなり、腕から胸にかけて濃いあざが広がってきた…」
もしかしたら、その症状は単なる打ち身ではないかもしれません。腕を動かそうとすると激痛が走る状態に、「もしかして骨が折れているのでは?」と、今まさに大きな不安を感じているのではないでしょうか。
この記事では、転倒後に起こりやすい「上腕骨外科頚骨折(じょうわんこつげかけいこっせつ)」の特有の症状と、ご自身で確認できるサイン、そして骨折が疑われる場合に今すぐやるべきことについて、専門家の視点から分かりやすく解説します。
この記事のポイント
「ただの打撲」と決めつけない
強い痛み、動かせない、ひどい内出血の3つが揃ったら骨折の可能性が高いと考えられます。特徴的な「あざ」に注意
肩の骨折では、腕から胸や脇腹にかけて、時間差で広範囲に濃いあざ(皮下出血)が現れることが特徴です。自己判断は危険
正確な状態は、専門家による検査(超音波エコーやレントゲン)でなければ分かりません。放置すると後遺症のリスクがあります。まずは安静と冷却を
骨折が疑われる場合、無理に動かさず、冷やすことが応急処置の基本です。
これって骨折?まず確認したい5つのサイン
以下のチェックリストに当てはまるものが多いほど、骨折の可能性が考えられます。ただし、これはあくまで目安であり、自己判断せずに必ず専門家の診断を受けてください。
| チェック項目 | 症状の詳細 |
| ① 激しい痛み | ・じっとしていてもズキズキと痛む・痛くて眠れない・押すと、飛び上がるほど痛い場所がある |
| ② 動かせない(機能障害) | ・腕を上げようとしても、痛みで全く上がらない<br>・寝返りをうつこともできない |
| ③ ひどい腫れ | ・痛い方の肩が、反対側と比べて明らかに腫れ上がっている・時間とともに腫れが大きくなっている |
| ④ 特徴的なあざ(皮下出血) | ・腕の付け根から胸、脇腹にかけて、紫色や青色の濃いあざが広がっている |
| ⑤ 変形 | ・肩の丸みがなくなり、角ばったように見えることがある |
なぜ?上腕骨外科頚骨折の特有の症状
上記のサインの中でも、特に「肩の付け根の骨折」でよく見られる特徴的な症状を解説します。
① 腕を動かせないほどの強い痛み
骨折すると、骨を覆っている「骨膜」という神経が豊富な膜が傷つくため、強い痛みが生じます。特に、腕を動かそうとすると折れた骨の端が動いて激痛が走るため、自力で腕を上げることはほぼできなくなります。
② 時間差で広がる、特徴的なあざ(皮下出血)
骨折すると、骨やその周りの血管が傷ついて内出血が起こります。肩の付け根で起こった内出血は、重力によって徐々に下のほうへ広がり、数日経ってから腕や胸、脇腹にまで及ぶ広範囲の濃いあざとなって現れます。これが「ただの打撲とは違う」と感じる最も分かりやすいサインの一つです。

③ 肩の周りが大きく腫れる
骨折による炎症と内出血により、肩関節の周りが大きく腫れ上がります。触ってみると、熱を持っていることもあります。
骨折が疑われる場合に、まずするべきこと
「骨折かもしれない」と思ったら、慌てずに以下の対応を行ってください。
応急処置の基本(PRICE処置)
ご自身やご家族ができる応急処置の基本として、近年ではRICE処置に「保護(Protection)」を加えた「PRICE(プライス)処置」が推奨されています。これは、医療機関を受診するまでの間に、症状の悪化を防ぐための方法です。
医師は、頭文字をとってPRICEと呼ばれる治療法を推奨することがあります。
Protection(保護)
Rest(安静)
Ice(冷却)
Compression(圧迫)
Elevation(挙上)
引用:MSDマニュアル家庭版
肩の骨折が疑われる場合、特に重要なのが「保護」と「安静」です。三角巾やタオルなどで腕を吊り、動かないように保護・安静を保ちましょう。
そして、「冷却」として、氷のうなどをタオルで包み、腫れている部分に15〜20分当ててください。無理な圧迫や挙上は痛みを悪化させる可能性があるため、まずはこの3点を心がけ、速やかに専門機関を受診してください
速やかな専門家への相談
自己判断で様子を見続けることは、骨がずれたまま固まり始めるなど、後の治療を難しくする可能性があります。上記のような症状が一つでも強く出ている場合は、ためらわずに専門家へ相談することが重要です。
接骨院では、まず超音波エコー検査を用いて、レントゲンでは分かりにくい骨の表面の状態や、周辺の組織の状態を詳しく観察することができます。その上で、提携する医療機関と連携し、レントゲン検査による確定診断を経て、適切な処置を進めていきます。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 夜間や休日にケガをした場合はどうすればいいですか?
A1. 激しい痛みで我慢できない場合は、地域の救急外来や休日診療所を受診してください。応急処置を行い、翌日以降にかかりつけ、あるいはお近くの専門機関を受診することをお勧めします。
Q2. とりあえず湿布を貼っておけば大丈夫ですか?
A2. 湿布には鎮痛・消炎効果がありますが、骨折そのものを治すことはできません。応急処置として冷却目的で使用するのは良いですが、「湿布を貼って様子を見る」のではなく、診断を受けることを優先してください。
Q3. 少し動かした方が固まらなくて良いと聞きましたが?
A3. 骨折が疑われる状態で無理に動かすのは非常に危険です。骨のズレを大きくしたり、神経や血管を傷つけたりする可能性があります。動かすのは、専門家による正確な診断と、適切な固定の後、許可が出てからです。絶対に自己判断で動かさないでください。
一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください
転倒後の強い痛みや、日に日に広がるあざは、心身ともに大きな負担となります。「大丈夫だろう」という思いと、「万が一」という不安の間で、どうすれば良いか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、骨折は初期の適切な対応がその後の回復を大きく左右します。もし、この記事で挙げたような症状に心当たりがある場合は、決して一人で悩まず、できるだけ早く専門家にご相談ください。
茨城県牛久市、龍ヶ崎市、阿見町、土浦市周辺で、転倒後の肩の痛みにお困りの際は、牛久市の蛯原接骨院がお力になります。
▼より詳しい治療法や回復までの流れについて知りたい方へ
こちらの記事では、上腕骨外科頚骨折の具体的な治療法やリハビリ、日常生活での注意点までを詳しく解説しています。
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【監修】
院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師
痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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免責事項
本記事は、当院の施術に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代行するものではありません。症状に関する診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。当ブログの情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。




