はじめに:「たくさんありすぎて、どれを選べばいいか分からない…」
「オスグッド病と診断され、サポーターを着けたいけれど、種類が多くて迷ってしまう」
「インソールも有効だと聞いたけれど、本当に効果があるのだろうか?」
「サポーターとインソール、うちの子にはどちらが必要?」
スポーツ用品店に行くと、様々な膝用のサポーターやインソールが並んでおり、どれがお子さんの症状に合っているのか、判断に迷う保護者の方は少なくありません。間違った製品選びは、効果がないばかりか、症状を悪化させる可能性すらあります。
目的によって選ぶべきものが異なります
結論から言うと、プレー中の痛みを一時的に和らげたいなら「サポーター(オスグッドバンド)」、身体の使い方のクセや足元からくる負担を軽減したいなら「インソール」が選択肢となります。両者は役割が全く異なるため、どちらか一方、あるいは両方を、目的に合わせて正しく選ぶことが重要です。
この記事では、それぞれの役割と、専門家の視点から見た選び方のポイントを詳しく解説します。
プレー中の痛みを軽減する「サポーター(オスグッドバンド)」
サポーターの役割と仕組み
オスグッド病で使われるバンドタイプのサポーターは、膝のお皿のすぐ下にある「膝蓋腱(しつがいけん)」という腱を、パッドで適度に圧迫します。これにより、運動時に大腿四頭筋が収縮しても、痛みの原因である脛骨粗面への牽引力が直接伝わるのを和らげ、プレー中の痛みを軽減させる効果が期待できます。

選び方の3つのポイント
| ポイント | 解説 |
| ① パッドの素材と形状 | 膝蓋腱を圧迫するパッドが、硬すぎず柔らかすぎない、適度な弾力のある素材(シリコンなど)かを確認します。個人の膝の形状にフィットしやすい、カーブがついた形状のものがおすすめです。 |
| ② ストラップの素材と幅 | ストラップは、プレー中にずれないよう、ある程度の伸縮性と滑りにくさを備えているものが良いでしょう。幅が広すぎると動きにくく、細すぎると食い込んで痛い場合があるため、適切な幅のものを選びます。 |
| ③ サイズ調整のしやすさ | プレーの強度やその日のコンディションによって、圧迫の強さを微調整できるものが理想です。マジックテープ式で、簡単に締め具合を変えられるタイプが一般的です。 |
正しい使い方と注意点
装着位置: 膝のお皿のすぐ下、痛む骨の出っ張りの少し上にパッドが当たるように装着します。
締め付け強度: 強く締めすぎると血流が悪くなります。指が1本スムーズに入る程度の強さに調整してください。
使用タイミング: あくまでプレー中や運動時など、痛みが予想される場面での使用に留め、日常生活で常に装着し続けるのは避けましょう。
身体の土台から負担を減らす「インソール(中敷き)」

インソールの役割と仕組み
膝の痛みは、実は足元の「崩れ」が原因となっているケースが少なくありません。例えば、土踏まずが潰れる「扁平足」や、走行時に足首が内側に倒れ込む「オーバープロネーション」といった状態は、着地時の衝撃をうまく吸収できず、すねの骨を内側に捻じれさせ、結果として膝への負担を増大させます。
インソールは、靴の中に入れることで足裏のアーチを適切にサポートし、足首や膝のアライメント(骨の配列)を正常な位置に近づけることで、身体の土台を安定させ、膝への過剰な負担を軽減する役割を果たします。
インソールを検討すべき子の特徴
土踏まずがほとんどない(扁平足)
シューズの踵の内側が極端にすり減っている
走っているときに、膝が内側に入ってしまうクセがある(ニーイン)
オスグッド病だけでなく、足の裏やアキレス腱、すねの内側(シンスプリント)なども痛くなりやすい
選び方のポイント
市販のスポーツ用インソールを選ぶ際は、①足裏のアーチをしっかり支えてくれるか、②踵を安定させるヒールカップがあるか、という2点を確認しましょう。試着が可能であれば、必ずシューズに入れてフィット感を確かめることが重要です。
ただし、市販のインソールはあくまで汎用品です。一人ひとりの足の形や身体の使い方のクセは千差万別であり、最適なサポートを得るためには、専門家による評価が不可欠です。
当院では、身体全体のバランスを評価した上で、お子さんの症状と足に合ったインソールをご提案しています。「市販品で良いものが見つからない」「自分の子に合ったものが分からない」といった場合は、ぜひ一度ご相談ください。
重要:サポーターとインソールは、あくまで「補助輪」です
サポーターやインソールは、痛みを軽減し、パフォーマンスをサポートするための非常に有効なツールです。しかし、これらは痛みの原因そのものを取り除く「治療」ではありません。
装具療法はあくまでも対症療法であり,根本的な治療ではない.したがって,装具療法のみに頼るのではなく,薬物療法や理学療法,外科的療法などと組み合わせて行われることが重要である。
(J-STAGE「スポーツ障害・外傷における装具の役割」より引用)
車のタイヤがパンクしている(身体の機能が低下している)のに、空気入れ(サポーターなど)で一時的に空気を入れて走り続けるようなものです。走り続けるためには、パンクそのものを修理する(身体のバランスを整える、筋肉の柔軟性を取り戻す)アプローチが不可欠です。
よくあるご質問(Q&A)
Q1: サポーターを着け続けると、筋力が弱くなったりしませんか?
A1: オスグッドバンドのようなピンポイントで圧迫するタイプは、関節全体の動きを固定するものではないため、筋力が著しく低下する心配は少ないと考えられます。ただし、頼りすぎは禁物です。プレー中のみの使用に留め、オフの時間は外して、セルフケアやトレーニングを行うことが大切です。
Q2: サポーターとインソール、どちらを先に試すべきですか?
A2: まずは、ご自身の痛みの特徴で判断するのが良いでしょう。「プレー中の特定の動きで痛む」場合はサポーターを、「普段から足が疲れやすい」「身体の歪みを指摘されたことがある」といった場合はインソールを試してみる価値があります。もちろん、両方を併用することも有効です。
Q3: どんな靴にインソールを入れればいいですか?
A3: 最も使用頻度の高い、練習用のスパイクやシューズに入れるのが基本です。もし可能であれば、通学用のスニーカーにも入れると、日常生活から身体のバランスを整える助けになります。
まとめ:自分に合ったツールを正しく選び、賢く使おう
オスグッド病のケアにおいて、サポーターやインソールは心強い味方になります。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、それぞれの役割を正しく理解し、自分の症状や目的に合った製品を選ぶことが何よりも重要です。
この記事を参考に、お子さんに最適なケア用品を見つけてあげてください。そして、それらはあくまで補助的なツールであることを忘れず、身体そのもののコンディションを整えることも並行して行っていきましょう。
ツールを使っても痛みが引かない…その不調には、さらに深い原因があるかもしれません
もし、サポーターやインソールを適切に使用しても痛みが長引く場合、その原因は単なる身体の歪みだけでなく、回復力を低下させている「脳の疲労」や「自律神経の乱れ」にある可能性があります。
なぜ、ケアをしているのに痛みがぶり返すのか?当院独自の考え方と、身体の司令塔からアプローチする方法を解説したこちらの記事をご覧ください。
→【オスグッド病が治らない方へ】痛みの原因は膝じゃない?脳疲労と自律神経に着目した新しいアプローチ
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院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師
痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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