長時間イスに座って勉強していると、お尻から太ももの裏、ふくらはぎにかけて「ジンジン」「ピリピリ」としたしびれや痛みを感じることはありませんか?
それは、身体が発している危険信号かもしれません。多くの受験生が経験するこの不快な症状は、一般的に「坐骨神経痛」と呼ばれるものと似ています。
この記事では、なぜ受験生にこの症状が起こりやすいのか、その本当の原因と、今日からできる対策について詳しく解説していきます。
なぜ座りっぱなしで「しびれ」が起こるのか?
この症状は、しばしば「坐骨神経が圧迫されている」と説明されます。まずは、一般的に言われる坐骨神経痛について見てみましょう。
一般的に言われる「坐骨神経痛」とは?
坐骨神経痛について、日本整形外科学会は次のように説明しています。
このように、多くの場合、神経への物理的な圧迫が原因とされています。しかし、レントゲンなどを撮っても特に異常が見られないケースも少なくありません。
本当の原因は「筋肉の過緊張」と「脳疲労」
当院では、レントゲンに映らない痛みやしびれの本当の原因は、物理的な神経の圧迫だけでなく、「筋肉の過緊張」と、それを引き起こす「脳疲労」にあると考えています。
お尻の深層筋(梨状筋など)が硬くなるメカニズム
長時間同じ姿勢で座り続けると、お尻の深い部分にある筋肉(特に梨状筋など)が常に圧迫され、血行が悪くなります。血行不良に陥った筋肉は、酸欠状態で硬く緊張しやすくなります。この状態が「筋肉の過緊張」です。
身体は「筋肉の緊張」をしびれとして感じる
筋肉が過度に緊張すると、その筋肉自体が痛みやしびれの原因となります。特に、坐骨神経の近くにある梨状筋などが硬くなることで、神経が圧迫されていなくても、脳はそれに似た「しびれ」や「痛み」として信号を認識してしまうのです。症状の強さは、この筋肉の緊張度合いによって変わってきます。
見過ごせない「脳疲労」との関係
では、なぜ筋肉がそこまで過度に緊張してしまうのでしょうか。その背景には、受験生特有の「脳疲労」が深く関わっています。
慢性痛患者では、身体的要因のみならず心理社会的要因が発症や症状の持続に関与することが報告されている。
出典:厚生労働省 慢性疼痛治療ガイドライン
ストレスが筋肉の緊張を無意識に増幅させる
受験のプレッシャーや不安といった精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、全身の筋肉を無意識のうちに緊張させます。身体はリラックスしているつもりでも、脳が興奮状態にあるため、筋肉を緩める指令がうまく出せず、お尻周りの筋肉の緊張をさらに強めてしまうのです。
脳が感覚をうまく処理できなくなる
脳が疲労すると、身体からの様々な感覚情報をうまく処理できなくなることがあります。本来なら気にならない程度の筋肉の張りや違和感を、脳が「危険な信号」と誤って判断し、「強いしびれ」や「痛み」として感じさせてしまうことも、症状が長引く一因と考えられます。
要注意!そのしびれを悪化させる3つのNG習慣
日々の何気ない習慣が、お尻から足へのしびれを悪化させているかもしれません。
脚を組む癖
脚を組むと、片方のお尻にだけ体重が集中し、筋肉の緊張に左右差が生まれます。これが血行不良をさらに悪化させる原因になります。
柔らかすぎる椅子やソファでの勉強
ソファやクッション性の高すぎる椅子は、座った時にお尻が沈み込み、骨盤が不安定になります。身体を支えようとして、お尻周りの筋肉に余計な力が入ってしまい、緊張を招きます。
休憩なしでの長時間の勉強
どんなに良い姿勢を意識していても、同じ姿勢を長時間続けること自体が筋肉への負担となります。定期的に立ち上がって筋肉をリセットすることが重要です。
受験生が今日からできる!しびれ対策セルフケア
つらい症状を和らげ、予防するために、毎日の生活に簡単なセルフケアを取り入れてみましょう。
お尻の筋肉をほぐす「テニスボール・ストレッチ」
床に座り、しびれや痛みを感じる側のお尻の下に、硬式のテニスボールを置きます。
ゆっくりと体重をかけ、「気持ちいい」と感じるポイントを探します。
痛すぎない範囲で、30秒ほど体重をかけて筋肉をほぐします。
30分に一度は立ち上がる「マイクロブレイク」のすすめ
30分〜1時間に一度は必ず椅子から立ち上がり、少し歩いたり、軽く伸びをしたりする「短い休憩(マイクロブレイク)」を習慣にしましょう。これだけでも、お尻の筋肉への圧迫がリセットされ、血行が改善します。
体を温めて血行を促す
シャワーだけで済ませず、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる習慣をつけましょう。全身の血行が良くなることで、筋肉の緊張が和らぎ、リラックス効果も高まります。
まとめ:しびれは身体と脳からの重要なサイン
お尻から足にかけてのしびれは、「少し休んでほしい」という身体と脳からのサインです。
単なる筋肉の問題と捉えず、その背景にある生活習慣や「脳疲労」にも目を向けることが、根本的な改善への第一歩となります。
セルフケアを試しても症状が続く、あるいは悪化するような場合は、筋肉や脳の状態が深刻化している可能性があります。我慢せずに、ぜひ一度専門家にご相談ください。
▼ お尻のしびれだけでなく、腰痛や原因不明の不調も感じる場合、その根本には受験勉強による「脳疲労」が隠れているかもしれません。身体と脳の両面からコンディションを整える方法について、こちらの記事で詳しく解説しています。
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【監修】
蛯原 吉正(柔道整復師)
けがと痛みの専門家として、伝統的な施術と最新の知識・技術を融合させ、日々多くの患者様と向き合っています。特に、脳と痛みの関係に着目したアプローチに力を入れており、どこへ行っても変わらなかったという方を一人でも多く救いたいという想いで情報発信を行っています。
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