「朝、どうしても起き上がれない…」
「頭では分かっているのに、体が鉛のように重い…」
「親に申し訳ない気持ちと、できない自分への焦りで苦しい…」
受験シーズンが近づくにつれて、こんな悩みが深刻になっていませんか?
それは決して「やる気がない」「気合が足りない」からではありません。そのつらい症状、実は身体のSOSサイン。「自律神経の乱れ」が原因かもしれません。
この記事では、なぜ受験期に朝起きられなくなるのか、その背景にある自律神経のメカニズムと、リズムを取り戻すための具体的な対策について詳しく解説します。
なぜ受験期に「朝起きられない」が悪化するのか?
朝起きられない原因を、本人の意思の弱さと結びつけてしまいがちですが、それは大きな誤解です。特に思春期の子どもたちにとって、この問題の根底には「自律神経」の働きが深く関わっています。
自律神経とは?交感神経と副交感神経のシーソーゲーム
まず、自律神経がどのような働きをしているかを知りましょう。自律神経は、私たちの意思とは関係なく、心臓や呼吸、体温、消化などを24時間コントロールしてくれる神経のことです。
自律神経は、車のアクセルとブレーキに例えられる2つの神経から成り立っています。
交感神経(アクセル): 日中、活動している時や緊張・興奮している時に働く。
副交感神経(ブレーキ): 夜、リラックスしている時や眠っている時に働く。
この2つの神経がシーソーのようにバランスを取りながら働くことで、私たちの心身は健康な状態を保っています。健康な状態では、夜になると自然に「ブレーキ」が優位になって身体は休息モードに入り、朝になると「アクセル」に切り替わって活動モードへとスムーズに移行します。
受験ストレスが自律神経のリズムを壊すメカニズム
ところが、受験生が抱える特有のストレスは、この絶妙なシーソーバランスを大きく乱してしまいます。
夜になっても「アクセル」が踏まれっぱなし
「成績への不安」「夜遅くまでの勉強」「休憩中のスマホ」――これらはすべて、身体を興奮させる交感神経(アクセル)を刺激し続けます。その結果、本来ブレーキを踏んでリラックスすべき夜の時間になっても身体が休息モードに入れず、寝つきが悪い、眠りが浅いといった状態に陥ってしまうのです。
朝になっても「アクセル」が入らない
夜に十分な休息がとれていないと、朝になっても身体を活動モードにする交感神経(アクセル)への切り替えがうまくいきません。これが、「朝起きられない」「起きても頭がボーッとする」「身体が鉛のように重い」といった症状の直接的な原因です。
「起立性調節障害」との関係は?
中高生が朝起きられない場合、「起立性調節障害(OD)」という病気の可能性も考えられます。
起立性調節障害とは?
この病気は、自律神経の乱れが原因で起こります。日本小児心身医学会は、起立性調節障害について次のように説明しています。
起立性調節障害(OD)は自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。自律神経系の機能がアンバランスなために身体的にも精神的にもエネルギーが不足しがちになります。立ち上がった時に血圧が低下したり、心拍数が上がり過ぎたり、調節に時間がかかりすぎたりします。
出典:一般社団法人 日本小児心身医学会 「起立性調節障害(OD)」
主な症状には、立ちくらみ、めまい、朝起きられない、倦怠感、頭痛などがあり、午前中に症状が強く、午後になると回復してくる傾向があります。
受験ストレスが悪化の引き金に
もともと起立性調節障害の素因があった子どもが、受験の強いストレスや生活リズムの乱れによって、症状がはっきりと現れるようになるケースは少なくありません。
もし、ここで挙げた症状に複数心当たりがあり、日常生活に支障が出ている場合は、自己判断せずに専門の医療機関に相談することが重要です。
自律神経のリズムを取り戻すための4つの習慣
つらい症状を少しでも和らげるために、今日からできる生活習慣の見直しを始めましょう。
習慣1:朝の光を浴びて体内時計をリセット
朝、目が覚めたら、まずはカーテンを開けて太陽の光を5分以上浴びましょう。光の刺激が脳に届くと、体内時計がリセットされ、心と体を安定させる「セロトニン」という脳内物質の分泌が促されます。
習慣2:寝る前の「スマホ断ち」とリラックスタイム
スマートフォンやPCの画面から出るブルーライトは、脳を覚醒させてしまいます。少なくとも寝る1時間前には画面を見るのをやめ、音楽を聴いたり、温かい飲み物を飲んだり、軽いストレッチをしたりするリラックスタイムを作りましょう。
習慣3:食事で身体の土台を整える
自律神経の働きを安定させるには、身体の内側から、つまり栄養面からのアプローチが欠かせません。特に起立性調節障害のような症状には、身体を作る基本的な材料が大きく関わっています。
最重要!すべての基本となる「たんぱく質」
自律神経の乱れを整える上で、最も重要な栄養素がたんぱく質です。なぜなら、たんぱく質は筋肉や血液といった身体の構造を作るだけでなく、心と体をコントロールするホルモンや神経伝達物質(セロトニンなど)の主要な材料でもあるからです。
十分なたんぱく質がなければ、他の栄養素をいくら摂取しても、身体はうまく機能しません。まずは、肉、魚、卵、大豆製品などを毎食しっかりと摂り、身体の土台を頑丈にすることが回復への第一歩です。
集中力とスタミナの鍵「鉄分」
「朝起きられない」「午前中は特にだるい」といった症状は、鉄分不足のサインかもしれません。鉄分は全身に酸素を運ぶ役割を担っており、不足すると脳や筋肉が酸欠状態になり、強い倦怠感や集中力の低下を引き起こします。
特に成長期は鉄分の必要量が増えるため、赤身の肉や魚、あさり、小松菜などを意識して食事に取り入れましょう。
エネルギー代謝を助ける「ビタミンB群」
食事から摂った栄養素を、身体を動かすためのエネルギーに変える際に不可欠なのがビタミンB群です。特にビタミンB群は、神経の働きを正常に保つためにも重要で、不足すると疲れやすくなったり、精神的に不安定になったりします。豚肉やレバー、納豆などを積極的に食べましょう。
まずは朝食を抜かず、たんぱく質を中心にバランスの良い食事を心がけることが、つらい症状から抜け出すための大きな助けになります。
習慣4:休日でも同じ時間に起きる
平日の寝不足を取り戻そうと、休日に昼まで寝てしまう「寝だめ」は、体内時計のリズムをさらに狂わせる原因になります。休日の朝も、できるだけ平日と同じ時間に起きるように心がけ、眠い場合は昼間に短い昼寝をとるようにしましょう。
保護者の方へ:焦らず、寄り添うサポートを
お子さんが朝起きられない姿を見ると、「怠けているのでは」と心配になり、つい厳しく声をかけてしまうかもしれません。しかし、それは逆効果です。本人が一番つらく、焦りを感じています。
まずは「やる気の問題ではない」ことを理解し、無理に起こそうとせず、「つらいね」と気持ちに寄り添う姿勢が大切です。そして、生活習慣の改善を一緒に試み、必要であれば専門家への相談を検討するなど、一番の理解者としてサポートしてあげてください。
▼ 「朝起きられない」だけでなく、腰痛や頭痛といった身体の痛みも感じる場合、その根本には受験勉強による「脳疲労」が隠れているかもしれません。身体と脳の両面からコンディションを整える方法について、こちらの記事で詳しく解説しています。
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【監修】
蛯原 吉正(柔道整復師)
けがと痛みの専門家として、伝統的な施術と最新の知識・技術を融合させ、日々多くの患者様と向き合っています。特に、脳と痛みの関係に着目したアプローチに力を入れており、どこへ行っても変わらなかったという方を一人でも多く救いたいという想いで情報発信を行っています。
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