「深呼吸や咳をすると胸が激しく痛む」「寝返りを打つたびに目が覚めてしまう」といった症状は、肋骨骨折のサインかもしれません。肋骨は体の中心にあり、少しの動きでも痛みが響くため、日常生活に大きな支障をきたします。
この記事では、肋骨骨折と診断された後、つらい痛みの期間をどう乗り切るか、日常生活に焦点を当てた具体的な対処法を専門的な視点から詳しく解説します。
肋骨骨折の痛みと日常生活での対処法
痛みが続く期間: 痛みのピークは受傷後の数日間で、日常生活に支障が出るような強い痛みは2〜3週間ほど続くのが一般的です。骨がつくまでの目安は約3週間です。
基本的な治し方: 肋骨骨折は、ギプスなどで固定ができないため、バストバンドで胸郭の動きを補助し、痛み止めを使いながら骨が自然につくのを待つ「保存療法」が基本となります。
生活での最重要ポイント: 痛みを我慢しすぎず、楽な姿勢や動作を工夫することが、合併症を防ぎ、回復を促す鍵となります。
肋骨骨折の代表的な症状
肋骨骨折をすると、以下のような特徴的な症状が現れます。
深呼吸、咳、くしゃみ、笑った時に胸に鋭い痛みが走る
骨折したと思われる場所を指で押すと、ピンポイントで激しい痛みがある(圧痛)
寝返りや、体をひねる動作で痛む
痛みのために、無意識に呼吸が浅くなる
【最重要】痛みを和らげる日常生活のコツ
治療と並行して、日常生活での工夫が痛みの軽減に直結します。
楽な寝方と起き上がり方
寝る姿勢: 痛む方を上にして横向きで寝るか、クッションや座椅子などを使って上半身を少し高くした姿勢で寝ると、痛みが和らぐことがあります。
起き上がり方: 仰向けのまま起き上がろうとすると腹筋に力が入り、肋骨に痛みが響きます。一度ゆっくりと横向きになり、腕の力を使って体を支えながら起き上がると、痛みを抑えられます。

痛みを抑える呼吸のコツ
ゆっくりとした呼吸: 痛みを恐れて呼吸が浅くなりがちですが、意識的にゆっくりと、静かな呼吸を心がけましょう。
咳やくしゃみをする時: 咳やくしゃみが出そうになったら、クッションや丸めたタオルなどを胸に抱え、軽く圧迫するように支えると、衝撃が緩和されて痛みが少し楽になります。
日常動作での注意点
重いものを持つ、体をひねる、前かがみになるといった動作は、肋骨に負担がかかり痛みを誘発します。回復するまでは、こうした動作は極力避けるようにしましょう。
肋骨骨折で注意すべき合併症
肋骨は肺や心臓といった重要な臓器を守る役割を担っています。そのため、大きな外力による肋骨骨折では、肺や心臓、血管の損傷を伴う可能性があり、命に関わる場合もあります。
また、痛みのために呼吸が浅くなることで引き起こされる合併症にも注意が必要です。この点について、日本骨折治療学会も注意を促しています。
引用
大きな外力による場合には複数の肋骨が骨折することが多く、胸郭内の肺や心臓、大血管に損傷が及ぶことが多く、命にかかわってくる場合があります。
痛みを適切に管理し、意識して呼吸をすることが合併症の予防につながります。
肋骨骨折の生活に関するよくあるご質問(Q&A)
Q1. バストバンドは寝る時もつけた方が良いですか?
A1. 就寝時はリラックスして呼吸をすることが大切なので、外すことをお勧めします。呼吸が制限されすぎると、かえって睡眠の質を下げてしまう可能性があります。日中の活動時に装着し、安静時は外すなど、メリハリをつけましょう。
Q2. デスクワークですが、仕事中に気をつけることはありますか?
A2. 長時間同じ姿勢でいると、筋肉がこわばり痛みの原因になります。可能であれば1時間に一度は立ち上がり、軽く体を伸ばすなどして、姿勢を変えることを心がけてください。
Q3. お風呂は入っても大丈夫ですか?
A3. 湯船に浸かると血行が良くなり、痛みが一時的に増す可能性があります。受傷直後はシャワーで済ませるのが無難です。痛みが落ち着いてきたら、長湯を避けて入浴を再開しても良いでしょう。
Q4. 湿布は効果がありますか?
A4. 湿布には消炎鎮痛効果があるため、痛みを和らげる助けになります。骨折そのものを治す効果はありませんが、周りの筋肉の痛みを緩和する目的で使用するのは有効です。
まとめ:より専門的な検査・治療と、骨折全般の情報について
肋骨骨折は、日常生活の工夫によって痛みを大きく軽減することができます。今回ご紹介した寝方や呼吸のコツを実践し、つらい時期を乗り切ってください。
【より専門的な検査・治療法について】
この記事では日常生活での対処法を中心に解説しました。レントゲンでは分かりにくい骨折の詳しい検査(超音波エコー)や、回復をサポートする専門的な物理療法(微弱電流治療)については、以下のページで詳しく解説しています。
【骨折全般の知識について】
骨折全体の回復プロセスや、骨の修復をサポートする栄養素など、より網羅的な情報については、以下の中心記事をご覧ください。
[骨折したら最初に読む記事|骨がつく期間の目安から生活の注意点まで網羅]
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【監修】
院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。症状が改善しない、または悪化する場合には、速やかに専門の医療機関を受診してください。