一日の大半を椅子に座って過ごすデスクワーカーに頻繁に見られる、足のつり(こむら返り)。夕方や夜になると、足が重く感じたり、突然の痙攣(けいれん)に襲われたりすることがあります。
その主な原因は、**長時間の同じ姿勢が引き起こす「血行不良」と、ふくらはぎの「筋ポンプ作用の低下」**にあります。結論として、この問題を改善するためには、意識的に筋肉を動かし、血流を促すオフィスでのセルフケアが非常に重要です。
この記事では、座りっぱなしがなぜ足のつりを招くのか、そのメカニズムを解説するとともに、仕事の合間に誰でも手軽に実践できる簡単なセルフケア方法をご紹介します。
なぜ座りっぱなしで足がつるのか?3つの要因
デスクワークという環境には、足のつりを引き起こしやすい特有の要因が潜んでいます。
要因1:血行不良と筋肉の硬直
長時間同じ姿勢で座り続けると、股関節や膝が圧迫され、足全体の血流が滞りやすくなります。特に、ふくらはぎの筋肉がほとんど動かされないため、筋肉は徐々に硬くなり、柔軟性を失います。硬直した筋肉は、血行不良をさらに悪化させ、痙攣を起こしやすい状態になります。
要因2:「第二の心臓」の機能停止
ふくらはぎの筋肉は、収縮と弛緩を繰り返すことで、足に溜まった血液を心臓へと押し戻す重要なポンプの役割を担っています。この働きは「筋ポンプ作用」と呼ばれ、ふくらはぎが「第二の心臓」と称される所以です。しかし、座りっぱなしの状態ではこのポンプ機能がほとんど働かないため、血液や老廃物が足に滞り、むくみや疲労、そして足のつりを引き起こすのです。
要因3:無自覚な水分不足と「隠れ冷え」
仕事に集中していると、つい水分補給を忘れがちになります。体内の水分が不足すると、血液の粘度が高まり、血行が悪化します。また、オフィスの空調によって足元が気づかないうちに冷えている「隠れ冷え」も、血管を収縮させ、血行不良を助長する大きな要因です。
オフィスでこっそりできる!3つの簡単セルフケア
大事なのは、長時間同じ状態を続けないことです。仕事の合間に、以下のケアを取り入れてみましょう。
1. 座ったままできる「かかと・つま先の上げ下ろし運動」
デスクの下で、誰にも気づかれずに「第二の心臓」を動かすことができる最も手軽な運動です。
椅子に深く座り、背筋を軽く伸ばす。
かかとは床につけたまま、つま先をゆっくりと上げる。
次につま先は床につけたまま、かかとをゆっくりと上げる。
この動きを1セット10回程度、1時間に1〜2回行う。

2. 1時間に1度は立ち上がって歩く
座り続ける時間を意識的に中断させることが重要です。少なくとも1時間に1回は立ち上がり、少し歩く習慣をつけましょう。トイレに行く、コピーを取りに行く、飲み物を取りに行くなど、目的は何でも構いません。数分歩くだけでも、滞っていた血流が大きく改善されます。
3. こまめな水分補給と足元の保温
デスクに水やお茶などを入れたタンブラーやペットボトルを常備し、喉が渇く前にこまめに水分を補給する習慣をつけましょう。また、足元の冷えを感じる場合は、ひざ掛けやレッグウォーマーなどを活用し、物理的に保温することも血行改善に有効です。
公的機関の情報を知る
長時間座り続けることの健康リスクについては、厚生労働省も警鐘を鳴らしています。
【引用】
長時間座り続ける行動は、身体活動量・エネルギー消費量が少ないことにとどまらず、血流や代謝機能の低下を介して、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、2型糖尿病・心血管疾患・がんなどの罹患リスクや、総死亡リスクを高める可能性が指摘されています。
[出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「座位行動」]
このように、座りっぱなしの生活は、足のつりだけでなく、より広範な健康問題につながる可能性が示されています。
デスクワークと足のつりに関するQ&A
Q1. 着圧ソックスを履いて仕事をするのは効果がありますか?
A1. 着圧ソックスは、外部から圧力をかけることで筋ポンプ作用を補助し、足のむくみやだるさの軽減に役立つ場合があります。ただし、サイズが合わないものや、締め付けが強すぎるものは、かえって血行を妨げる可能性もあるため、自分に合った製品を正しく着用することが重要です。
Q2. 椅子の高さや座り方で気をつけることはありますか?
A2. 椅子に深く腰掛け、足の裏全体がしっかりと床につく高さに調整するのが基本です。膝が90度くらいに曲がるのが理想的です。足を組む癖は、骨盤の歪みや血行不良につながるため、避けるように意識しましょう。
Q3. 仕事終わりに足がパンパンです。マッサージはしても良いですか?
A3. ふくらはぎを心臓に向かって優しくさすったり、軽く揉んだりするマッサージは、血行促進に有効です。ただし、痛みを感じるほど強く揉むと、筋肉を傷つけてしまう可能性があるため、あくまで「気持ち良い」と感じる範囲で行いましょう。
デスクワークの習慣を見直すことが第一歩
この記事では、デスクワーカーに多い足のつりの原因と、オフィスでできるセルフケアに焦点を当てて解説しました。しかし、対策を続けても症状が改善しない場合、水分不足やミネラル不足、冷え、さらには「脳の疲労」など、他の原因が複雑に絡み合っている可能性があります。
以下の記事では、足のつりを引き起こす様々な原因を網羅的に解説し、専門的な視点から、より多角的な解決策についてご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
→ 『くり返す足のつり(こむら返り)、原因は?今すぐできる対処法から専門的なアプローチまで徹底解説』
【お問い合わせ】
お問い合わせは下記よりお願いいたします。
【接骨院詳細】
【蛯原接骨院】
住所: 〒300-1222 茨城県牛久市南2-1-12
電話番号: 029-872-2653
診療時間:
曜日 午前 午後 月~金 8:00~12:00 15:00~20:00 土 8:00~12:30 休診 日 休診 休診
アクセス: JR常磐線「牛久駅」徒歩5分
駐車場: 5台分有り
【監修】
院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師
痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
より詳しい経歴やご挨拶については、こちらのページをご覧ください。
→ [院長紹介ページはこちら]
【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。症状が改善しない、または悪化する場合には、速やかに専門の医療機関を受診してください。




