穏やかな眠りを突然妨げる、ふくらはぎの激痛。睡眠中に足がつる(こむら返り)のは、非常につらい経験です。
なぜ、リラックスしているはずの睡眠中に、このような激痛が起こるのでしょうか。結論から言うと、その主な原因は、**就寝中の「発汗による水分・ミネラル不足」、体の「冷えによる血行不良」、そして「日中に蓄積された筋肉疲労」**という3つの要素が複合的に絡み合っていることにあります。
この記事では、睡眠中に足がつりやすくなるメカニズムを解説し、今夜からすぐに実践できる具体的な対策をご紹介します。
なぜ「睡眠中」に足がつりやすいのか?3つの主な理由
理由1:気づかないうちに進む「脱水」
人は寝ている間に、コップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われています。この発汗によって、体からは水分だけでなく、筋肉の正常な働きに不可欠な**マグネシウムやカリウムといったミネラル(電解質)**も一緒に失われます。
就寝中は水分補給ができないため、体は無自覚のうちに軽い脱水状態に傾きます。これにより血液の粘度が高まって血行が悪くなると同時に、筋肉のミネラルバランスが崩れ、痙攣(けいれん)を引き起こしやすい状態になるのです。
理由2:体の「冷え」による血行不良
睡眠中は活動時よりも体温が低下する傾向にあります。特に、布団から足が出てしまったり、夏場のエアコンの風が直接当たったりすることで足元が冷えると、血管が収縮して血行がさらに悪化します。血行不良に陥った筋肉は硬直しやすく、わずかな刺激でつってしまいます。
理由3:日中の「筋肉疲労」の蓄積
日中の立ち仕事や運動などで蓄積された筋肉の疲労が、完全に回復しないまま眠りにつくことも原因の一つです。筋肉の伸び縮みをコントロールしているセンサーが、疲労によって誤作動を起こし、リラックスすべき睡眠中に異常な収縮命令を出してしまうことがあります。
今夜からできる!夜中のこむら返りを防ぐ4つの対策
対策1:就寝前の「コップ1杯の水」を習慣に
就寝中の脱水を防ぐための、最もシンプルで効果的な対策です。寝る30分〜1時間前に、コップ1杯(150〜200ml)の水を飲む習慣をつけましょう。カフェインの含まれていない麦茶や、白湯(さゆ)もおすすめです。
対策2:体を温める工夫で血行を促進
就寝前の入浴: シャワーで済ませず、38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かり、体の芯から温めましょう。血行が促進されるだけでなく、リラックス効果で寝つきも良くなります。
足元の保温: 冷えやすい場合は、通気性の良いシルクやコットン素材のレッグウォーマーや、締め付けの緩い靴下を履いて寝るのも有効です。

対策3:寝る前の軽いストレッチで筋肉をほぐす
日中の緊張で硬くなった筋肉を、寝る前にほぐしてあげましょう。ふくらはぎやアキレス腱、太ももの裏などを、反動をつけずに「痛気持ちいい」と感じる範囲でゆっくり20〜30秒ほど伸ばすストレッチが効果的です。
対策4:寝室の環境を見直す
エアコンの風向き: 冷たい風が、体に直接当たらないように風向きを調整しましょう。
掛け布団: 重すぎる掛け布団は、足先を圧迫して血行を妨げる一因になることがあります。軽くて保温性の高いものを選ぶのがおすすめです。
公的機関の情報を知る
睡眠中の体温調節のメカニズムについて、公的機関は以下のように説明しています。
【引用】
健康な人では、皮膚の血流量を増やし熱放散を促進させることによって、深部体温(体の内部の温度)を低下させ、脳をしっかりと休息させます。良い睡眠のためには、この深部体温の低下が重要です。
[出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」]
この熱放散の過程で、汗をかくことによる水分・ミネラルの損失や、手足が冷えすぎることによる血行不良が起こりやすくなるため、事前の対策が重要となるのです。
睡眠中の足のつりに関するQ&A
Q1. 毎晩のようにつるのですが、何か病気の可能性はありますか?
A1. 非常に頻繁に繰り返す場合や、日中にも症状が出る、足のしびれやむくみを伴うといった場合は、糖尿病や血管の病気、脊柱管狭窄症などが隠れている可能性も考えられます。セルフケアで改善が見られない場合は、一度医療機関に相談することをお勧めします。
Q2. スポーツドリンクを寝る前に飲むのはどうですか?
A2. 大量の汗をかく夏場など、ミネラル不足が特に懸念される場合には有効な選択肢です。ただし、一般的なスポーツドリンクは糖分が多いため、気になる場合は経口補水液や、水に溶かすタイプの無糖の電解質パウダーなどを活用するのも良いでしょう。
Q3. 足枕(フットピロー)を使うのは効果がありますか?
A3. 心臓より少し高い位置に足を置くことで、足に滞留した血液や水分の還流を助け、むくみや疲労の軽減に役立つ場合があります。血行改善の一助として試してみる価値はあります。
繰り返す痛みには、日中の生活習慣の見直しも
この記事では、夜間のこむら返りを防ぐための対策に焦点を当てて解説しました。しかし、これらの対策を続けても症状が改善しない場合、日中の食生活での栄養不足や、身体の歪み、運動不足など、より複合的な原因が背景にある可能性があります。
以下の記事では、足のつりを引き起こす様々な原因を網羅的に解説し、専門的な視点から、より多角的な解決策についてご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
→ 『くり返す足のつり(こむら返り)、原因は?今すぐできる対処法から専門的なアプローチまで徹底解説』
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院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
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痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。症状が改善しない、または悪化する場合には、速やかに専門の医療機関を受診してください。




