マレットフィンガー固定除去後のリハビリ完全ガイド|いつから動かす?自分でできる3つの運動

数週間にわたる長い固定期間、お疲れ様でした。いよいよ装具が外れ、「いつから、どのように動かせばいいのだろう?」と期待と不安が入り混じっていることでしょう。

この記事では、まず結論として、固定除去後のリハビリを開始する最適なタイミングと、最初に取り組むべきことについて解説します。

【リハビリはいつから、何をすべきか?】

  • いつから動かす?
    リハビリは、固定装具を除去したその日から、専門家の指導のもとで開始するのが一般的です。自己判断で開始時期を遅らせると、逆に関節が固まってしまう(拘縮)リスクがあります。

  • 何をすべき?
    絶対に無理は禁物です。最初は、硬くなった関節の動きをゆっくりと取り戻すための**「自動運動(自分の力だけで動かす運動)」から始めます。特に、再び指が垂れ下がらないように「指を完全に伸ばす動き」**を意識することが最も重要です。

【Q&A】固定除去後のリハビリに関するよくある質問

Q1. リハビリ中に痛みを感じたら、どうすればいいですか?
A1. 軽い張りや動かしにくさを感じることはありますが、「鋭い痛み」や「強い痛み」がある場合は、運動を中止して専門家に相談してください。腱の再損傷や炎症を引き起こす可能性があるため、無理は禁物です。

Q2. リハビリはどのくらいの期間続ければ良いですか?
A2. 回復には個人差がありますが、一般的に日常生活での基本的な動作に不便がなくなるまでには、リハビリ開始から数週間~数ヶ月かかることが多いです。スポーツへの完全復帰には、さらに時間が必要な場合もあります。

Q3. 指が以前のように完全に曲がりません。これは失敗ですか?
A3. いいえ、すぐに悲観する必要はありません。マレットフィンガーの治療ゴールは、まず「第一関節がまっすぐ伸びた状態を維持すること」です。第一関節がわずかに伸びにくくなる(伸展ラグ)ことや、曲げにくさが少し残ることは珍しくありません。焦らず、専門家と相談しながら機能回復を目指すことが大切です。

【段階別】自宅でできる3つの基本運動

ここでの運動は、あくまで一般的な例です。必ず専門家の指導と許可のもとで、痛みのない範囲で実践してください。

ステージ1:自動運動(固定除去 直後から)

硬くなった関節の滑りを良くし、基本的な動きを取り戻すための最初のステップです。

  1. テーブルなどの平らな面に手のひらを置きます。

  2. ゆっくりと、けがをした指を他の指と一緒に持ち上げ、まっすぐ伸ばします。この時、第一関節が垂れ下がらないように意識します。

  3. 次に、ゆっくりと指を下ろし、リラックスします。

  4. この動きを10回程度繰り返します。

ステージ2:屈曲運動(専門家の許可が出てから)

指を曲げる角度を少しずつ深めていく運動です。

  1. 指の第二関節と付け根の関節だけを曲げ、指先は天井を向くようにします。カギのような形です。

  2. 次に、すべての指の関節をゆっくりと曲げ、軽い握りこぶしを作ります。

  3. 痛みを感じないところまで曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

  4. この動きを10回程度繰り返します。

ステージ3:つまみ動作の練習(日常生活レベル)

より実用的な動きを取り戻し、筋力を回復させるための運動です。

  1. 親指と、けがをした指の指先で、コインや消しゴムなどの小さな物をそっとつまみます。

  2. つまんだまま、ゆっくりと持ち上げて、別の場所に置きます。

  3. この動作を、疲れを感じない程度に繰り返します。

リハビリにおける最大の注意点

固定が外れた直後の腱は、まだ非常にデリケートです。焦って強く曲げたり、重いものを持ったりすると、修復しかけた腱が再び伸びたり、切れたりする(再断裂)危険性があります。

引用
米国手の外科学会(ASSH)は、マレットフィンガーの治療プロセスについて次のように述べています。「治療の目標は、腱が治癒するまで指先をまっすぐに保つことです。(固定期間の後)医師の指示に従って、穏やかな指の運動を開始します。最良の結果を得るためには、指示通りに装具を着用することが非常に重要です。」
(出典: Handcare from ASSH – “Mallet Finger”

この引用が示す通り、リハビリの最優先事項は「曲げること」ではなく、**「獲得したまっすぐな状態を失わないこと」**です。すべての運動は、専門家による個別指導のもとで、慎重に進める必要があります。

なぜリハビリが必要?マレットフィンガーの全体像はこちら

この記事では、固定が外れた後のリハビリテーションに焦点を当てました。

しかし、**「なぜ数週間も固定が必要だったのか」「そもそもマレットフィンガーとはどんな怪我なのか」**といった根本的な原因を理解することは、リハビリを正しく進める上でも非常に重要です。

マレットフィンガーの原因から、当院での具体的な施術内容、固定期間中の注意点までを網羅的に解説したメインコンテンツで、ぜひ全体像をご確認ください。

[【総合解説】マレットフィンガーの原因から施術、セルフケアまで]

【お問い合わせ】

お問い合わせは下記よりお願いいたします。

【接骨院詳細】

【蛯原接骨院】

  • 住所: 〒300-1222 茨城県牛久市南2-1-12

  • 電話番号: 029-872-2653

  • 診療時間:

    曜日午前午後
    月~金8:00~12:0015:00~20:00
    8:00~12:30休診
    休診休診
  • アクセス: JR常磐線「牛久駅」徒歩5分

  • 駐車場: 5台分有り

【監修】

院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師

痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。

一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。

より詳しい経歴やご挨拶については、こちらのページをご覧ください。
[院長紹介ページはこちら]

免責事項

当ブログに掲載されている内容は、一般的な情報提供を目的とするものであり、医学的な診断や治療を代行するものではありません。症状に関する診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。また、当ブログの内容に基づいた行為によって生じた、いかなる損害についても責任を負いかねます。