「朝起きると、顎が固まって口が開きにくい」
「指が縦に2本も入らない」
「無理に開けようとすると激痛が走る」
口がスムーズに開かないという症状(開口障害)は、食事や会話、あくびといった日常の何気ない動作に直接的な影響を及ぼす、非常につらく不安な症状です。この状態が続くと、「このままもっと開かなくなったらどうしよう」という精神的なストレスも大きくなります。
この記事では、ご自身の開口障害がどのレベルにあるのかを客観的に把握するためのセルフチェック方法、その原因、そして絶対にやってはいけない注意点について詳しく解説します。
あなたの開口障害はどのレベル?指でできる簡単セルフチェック
まず、ご自身の状態を客観的に把握してみましょう。痛みが出ない範囲で、人差し指から薬指までの3本を縦に揃え、口に入るか試してみてください。
正常範囲の目安: 指が縦に3本(約40mm〜50mm)スムーズに入る状態。
レベル1(軽度): 指が3本ギリギリ入るか、2本は余裕で入る。口を開ける際に痛みや「突っ張り感」はあるが、日常生活に大きな支障はない。
レベル2(中度): 指がなんとか2本(約30mm)入る程度。硬いものが食べにくく、あくびをするのが怖い。日によって開き具合に差があることも。
レベル3(重度): 指が2本も入らない(約25mm以下)。食事は細かくしたり、柔らかいものに限られたりする。会話にも支障が出ることがある。
一般的に、指2本分(約30mm)が開口量の一つの危険信号となります。これ以下の場合は、顎関節に何らかの機能的な問題が起きている可能性が高いと考えられます。
なぜ口が開かなくなるのか?考えられる2つの主な原因
口が開かなくなってしまう原因は、大きく分けて「筋肉の問題」と「関節そのものの問題」の2つが考えられます。
1. 筋肉の問題(筋性開口障害)
こちらは、顎を動かすための筋肉が過度に緊張し、ロックがかかったようになっている状態です。
原因: 精神的なストレス、睡眠中の歯ぎしり、日中の無意識の食いしばり、長時間のデスクワークによる不良姿勢などが挙げられます。
メカニズム: 筋肉が疲労し続けると、筋肉を守ろうとする防御反応が働き、ガチガチに固まって伸びなくなってしまいます(筋拘縮)。これが顎の動きを強力に制限します。
特徴: 「昨日よりは少し開く」など日によって症状に波がある、顎だけでなくこめかみや頬、首筋まで重だるい痛みがある、蒸しタオルなどで温めると少し楽になる、といった傾向があります。
2. 関節の問題(関節性開口障害)
こちらは、顎関節の内部構造に物理的な問題が起きている状態です。
原因: 顎関節の中には、骨と骨が直接ぶつからないように「関節円板」という軟骨のクッションがあります。このクッションが前方にズレてしまい、元の位置に戻らなくなることで発生します。
メカニズム: 口を開けるとき、下顎の骨の先端(下顎頭)は前方にスライドするように動きます。しかし、ズレた関節円板が「ドアストッパー」のように引っかかってしまい、骨の前方への動きを物理的にブロックしてしまうのです。これを専門的には**「クローズドロック」**と呼びます。
特徴: ある日突然「カクッ」という音とともに関節が引っかかり、それ以降まったく口が開かなくなった、というケースが多いです。一定の角度以上はテコでも開かず、無理に開けようとすると関節部分に激痛が走ります。
【最重要】口が開かない時に絶対にやってはいけないこと
口が開きにくい時、焦って指で無理やりこじ開けようとしたり、大きく開ける練習をしたりするのは絶対にやめてください。
良かれと思って行ったその行為が、炎症を起こしている関節や筋肉の組織をさらに傷つけ、症状を悪化させてしまう危険性が非常に高いです。特に、関節円板が引っかかっている「クローズドロック」の状態で無理な力を加えると、軟骨に修復不可能なダメージを与えてしまう可能性すらあります。
痛みや強い制限がある場合は、まず**「安静」と「冷却または温め(※)」**を心がけ、顎に負担をかけないことが第一です。
※急に痛くなった、熱を持っている場合は冷やし、慢性的なこわばりの場合は温めるのが基本ですが、判断に迷う場合は専門家にご相談ください。
当院の専門的アプローチ:原因を見極め、動ける環境を整える
当院では、開口障害の原因が筋肉性なのか、関節性なのか、あるいはその両方が複合しているのかを丁寧に見極め、それぞれに合った最適なアプローチを選択します。無理に口を開けさせるような施術は一切行いません。
筋肉性の問題に対して: 特殊な治療器「ノーマライザ」を使用し、顎の筋肉だけでなく、その動きに悪影響を与えている首や肩の深層筋にある**トリガーポイント(痛みの引き金)**を正確に探し出し、アプローチします。筋肉の過剰な緊張を根本から和らげることで、顎が自然に動ける状態を目指します。
関節性の問題や背景にある自律神経の問題に対して: ごく優しい刺激で脳と身体の連携を整える「BFI療法」を用います。関節がロックしている背景には、痛みに対する脳の過剰な防御反応が隠れていることが少なくありません。脳の緊張を和らげ、身体がリラックスすることで、ガチガチに固まった顎周りのガードが自然と解かれ、関節が本来の動きを取り戻すための環境を整えます。
私たちは、顎を「動かす」のではなく、顎が「自然に動ける環境を取り戻す」お手伝いをします。
まとめ:食事や会話の楽しみを取り戻すために
口が開かないという症状は、生活の質を著しく低下させます。放置することで、食事が偏って栄養状態が悪くなったり、顎関節の変形が進行してしまったりする可能性もあります。
一人で無理な対処をしようとせず、まずはご自身の顎に何が起きているのかを正確に知ることが、改善への第一歩です。
顎関節症全体の情報や、他の症状との関連については、こちらの総合案内記事もご覧ください。
→ 長引く顎の痛み、もう諦めない。顎関節症の多様な原因と当院の新しいアプローチ
食事や会話を心から楽しめる毎日を取り戻すために、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。
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【監修】
蛯原 吉正(柔道整復師)
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免責事項
このブログ記事は、顎関節症に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。記載されている内容は、一般的な知見に基づくものであり、効果には個人差があります。症状の診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。当ブログの情報に基づいてご自身の判断で行ったいかなる行為に関しても、当院は一切の責任を負いかねます。