足の指を骨折したら?症状と固定、靴の選び方まで

タンスの角に足の指をぶつけたり、物を足の上に落としてしまったりした際の激しい痛み。「ただの打撲だろう」と思いがちですが、もしかしたら骨折しているかもしれません。足の指の骨折は軽視されがちですが、放置すると痛みが長引いたり、指が変形したりする原因にもなります。

この記事では、足の指を骨折した場合の症状の見分け方から、接骨院で行う専門的な固定、そして日常生活で困る「靴の選び方」まで、詳しく解説します。

足の指の骨折で重要な3つのポイント

足の指を骨折した、あるいはその疑いがある場合、以下の3点が重要になります。

  1. 症状の確認: 「指が異常な方向に曲がっている」「紫色に腫れあがっている」「指を動かせないほどの激痛」といった症状があれば、骨折の可能性が非常に高いです。

  2. 専門家による適切な固定: 骨にズレがある場合は元の位置に戻し、症状に合わせてテーピングや専用の固定具で安静を保つことが、きれいに治すための鍵です。

  3. 靴の選び方: 患部を圧迫しない、つま先が広く開いたサンダルや、専用のキャストシューズを選び、患部に負担をかけない工夫が求められます。

これって骨折?ヒビとの違いとセルフチェックの目安

打撲との見分けがつきにくい足の指の骨折ですが、いくつか特徴的な症状があります。

骨折を疑うべき症状

  • 外見の変化: 指が紫色や黒っぽく腫れあがり、熱を持っている。指が不自然な方向に曲がっている。

  • 強い痛み: 指を少しでも動かそうとすると激痛が走る。体重をかけることができない。

  • 骨の異常な動き: 押した際に、骨がぐらぐらと動くような異常な感覚がある(専門家による判断が必要です)。

「ヒビ」も医学的には骨折

一般的に「ヒビ」と呼ばれるものは、医学的には「不全骨折」といい、骨折の一種です。完全に折れて骨が分離した状態(完全骨折)ではありませんが、骨に損傷があることに変わりはありません。ヒビだからと軽く考えず、骨折と同様に適切な処置を行うことが大切です。

接骨院での診断から固定までの流れ

足の指の骨折が疑われる場合、接骨院では専門的な知識と技術に基づき、以下のような手順で適切な処置を行います。

超音波エコーによる詳細な観察

まず、超音波エコー(観察装置)を用いて、骨の状態をリアルタイムで詳細に観察します。レントゲンとは異なり、骨だけでなく周囲の軟部組織(靭帯や腱など)の損傷の有無も確認することが可能です。

徒手整復による骨の位置調整

観察の結果、骨にズレ(骨片転位)が認められる場合は、手技によって骨を元の正しい位置に戻す「徒手整復」を行います。この際、外見上の爪の向きなども、骨のズレを判断するための重要な指標となります。正しい位置に整復することが、後の回復に大きく影響します。

状態に合わせた固定法の選択

徒手整復後、骨折部が再びずれないように、症状に合わせて最適な方法でしっかりと固定します。

  • テーピング固定(バディテーピング): 比較的ズレが少ない場合や、応急処置として有効な方法です。骨折した指と隣の健康な指を一緒に固定し、安静を保ちます。

  • プライトンやレナサームによる固定: より強固な固定が必要な場合は、お湯で柔らかくなり、冷えると固まるプラスチック素材(プライトン、レナサーム)を用いて、患者さん一人ひとりの指の形に合わせたオーダーメイドの固定具を作成します。

医療機関との連携

接骨院での応急処置後、骨折の最終的な診断と経過観察のため、顧問医である整形外科にてレントゲン検査を受けていただきます。このように、医療機関と密に連携を取りながら、回復までをサポートする体制を整えています。

骨折中の生活での注意点と靴の選び方

固定をしても、日常生活では歩かなければならない場面が多くあります。

歩き方の工夫

できるだけ患部に体重がかからないように、かかとで歩いたり、松葉杖を使ったりする工夫が必要です。室内でも、不意に患部をぶつけないように注意しましょう。

痛くない靴の選び方

骨折中に最も困るのが靴の問題です。患部を圧迫せず、かつ安全に歩ける靴を選びましょう。

  • サンダル: つま先部分が広く覆われており、ベルトで甲を固定できるタイプ(クロックスなど)が便利です。

  • 幅の広いスニーカー: 普段よりワンサイズ大きい、幅の広いスニーカーの紐を緩めて履く方法もあります。

  • キャストシューズ: ギプスや包帯を巻いたままでも履けるように設計された、底が硬く、マジックテープで簡単に着脱できる専用の靴もあります。

骨折を放置するリスク

足の指の骨折は、「そのうち治るだろう」と放置されやすい傾向にありますが、適切な治療を受けずにいると、後遺症が残る可能性があります。
この点について、日本整形外科学会も骨折全般のリスクとして注意を促しています。

引用
骨折を放置すると、骨が変形したまま癒合したり、関節の動きが悪くなったり、いつまでも痛みがとれないなどの後遺症が残ることがあります。

出典:日本整形外科学会「症状・病気をしらべる 骨折」

指の変形や慢性的な痛みが残ると、歩行のバランスが崩れ、膝や腰など他の部位に負担がかかる原因にもなり得ます。

足の指の骨折に関するよくあるご質問(Q&A)

Q1. ぶつけただけだと思って放置しても大丈夫ですか?
A1. 痛みが軽く、普通に歩ける場合は打撲の可能性もありますが、強い腫れや内出血、痛みが続く場合は骨折の疑いがあります。自己判断で放置せず、一度専門家にご相談ください。

Q2. 痛みはどのくらいで引きますか?骨がつくまでの期間は?
A2. 強い痛みは1〜2週間で落ち着いてくることが多いです。骨がつくまでの期間は、指の骨(趾骨)でおよそ2〜3週間が目安です。ただし、完全に元の強度に戻るにはさらに時間が必要です。

Q3. お風呂は入れますか?
A3. 患部が濡れないようにビニール袋などで保護すれば、シャワーは可能です。湯船に浸かると血行が良くなり、痛みや腫れが一時的に増すことがあるため、受傷直後は避けた方が無難です。

Q4. 仕事や運動はいつからできますか?
A4. デスクワークなど、足に負担のかからない仕事であれば早期に復帰可能です。立ち仕事や歩き回る仕事、スポーツへの復帰は、骨の回復状態によりますので、自己判断せず、必ず専門家の許可を得てください。

まとめ:より詳しい骨折治療については

足の指の骨折は、小さな部位ながら生活の質に大きく影響します。適切な固定と、患部に負担をかけない生活の工夫が、スムーズな回復と後遺症の予防につながります。痛みを軽視せず、おかしいと感じたら専門家へ相談することが大切です。

骨折全般の回復プロセスや、骨の修復をサポートする栄養、最新の物理療法など、より網羅的な情報については、以下の記事で詳しく解説しています。

[骨折したら最初に読む記事|骨がつく期間の目安から生活の注意点まで網羅]

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院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師

痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。

一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。

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【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。症状が改善しない、または悪化する場合には、速やかに専門の医療機関を受診してください。