「コーレス骨折と診断され、手術を勧められたけれど、できればメスは入れたくない…」
「手術以外の治療法について、もっと詳しく知りたい」
転倒などで手首を骨折してしまった際、このような不安や疑問を抱く方は少なくありません。
実は、コーレス骨折の治療には、手術以外にも「無血整復(むけつせいふく)」という、私たちの身体に備わった治癒能力を最大限に活かす保存療法があります。
この記事では、柔道整復師の専門技術である無血整復の具体的な流れや、手術と比較した場合のメリットについて詳しく解説します。
無血整復とは?メスを使わずに骨を元の位置へ
無血整復とは、その言葉の通り、
無血:メスを使って皮膚を切開しない
整復:ずれてしまった骨を、手技によって元の正しい位置に戻す
という治療法です。これは骨や関節、筋肉に関する深い知識と豊富な経験を持つ、国家資格者である柔道整復師が得意とする専門技術です。
手術のように金属プレートやネジで固定するのではなく、徒手的な技術で骨を整え、その後のギプスや副子による適切な固定と、身体が本来持つ「骨が癒合しようとする力」をサポートすることで回復を目指します。
無血整復の具体的な流れ
では、実際にどのように無血整復が行われるのか、そのステップを見ていきましょう。
Step 1:詳細な検査と状態把握
まず最も重要なのが、骨折の状態を正確に把握することです。問診や触診に加え、超音波エコー検査を用いて、骨がどの方向に、どのくらいずれているのかを立体的に観察します。同時に、レントゲンでは見えない周囲の靭帯や腱の損傷がないかも確認します。この詳細な情報が、次の整復手技の精度を大きく左右します。
Step 2:整復の実施
骨の状態を完全に把握した上で、整復に移ります。患者さんの力を抜き、リラックスした状態で、以下の手技を慎重に組み合わせて行います。
牽引(けんいん)
まずは腕をまっすぐ引っ張り、骨折部分にスペースを作ります。
掌屈(しょうくつ)
手のひら側に手首を曲げ、ずれている骨(骨片)のロックを外します。
圧迫・誘導
施術者の指でずれた骨を直接圧迫し、正しい位置へと滑らせるように誘導します。
これらの操作は、豊富な経験と解剖学的な知識に基づいた、非常に繊細な技術を要します。
Step 3:整復後の確認と固定
骨が正しい位置に戻ったことを、再度超音波エコーで確認します。整復が完了したら、その状態を維持するために、金属の副子(シーネ)や包帯、テーピングなどを用いて適切に固定します。この固定は、骨の再転位(再びずれること)を防ぎ、安定した骨癒合を促すために極めて重要です。
無血整復を選択する4つの大きなメリット
手術療法と比較して、無血整復には患者さんにとって多くのメリットがあります。
メリット1:身体への負担が少ない
メスを使わないため、手術に伴う出血や麻酔のリスク、術後の感染症の心配がありません。多くの場合、入院も不要で、ご自身の生活リズムを保ちながら治療を進めることができます。
メリット2:関節の機能が温存されやすい
手術でプレートなどを入れると、周辺の筋肉や腱との癒着が起こり、関節の動きが硬くなることがあります。無血整復では体内に異物を入れないため、そのようなリスクが低く、関節本来のしなやかな動きを保ちやすいのが特徴です。
メリット3:回復が自然なプロセスで進む
人間の身体に備わった「治る力(自然治癒力)」を最大限に引き出す治療法です。金属などの異物に頼らず、自身の力で骨が再生・癒合していくプロセスをサポートします。
メリット4:手術特有の合併症リスクがない
手術には、神経や血管の損傷、インプラント(金属プレートなど)の破損や緩みといった、特有の合併症のリスクが伴います。無血整復では、これらの心配がありません。
注意点:無血整復が適さないケースも
多くのメリットがある無血整復ですが、全てのコーレス骨折に適応できるわけではありません。以下のようなケースでは、手術療法が推奨されることがあります。
骨が粉々に砕けている(粉砕骨折)
骨折線が関節の内部にまで及んでいる
整復しても骨が安定しない(不安定型骨折)
神経や太い血管の損傷を伴っている
このような場合は、連携する医療機関へ速やかにご紹介し、患者さんにとって最善の治療法を選択します。
まとめ:手術を決める前に、無血整復という選択肢を
もしあなたがコーレス骨折と診断され、手術を勧められたとしても、「手術しかない」とすぐに決断する必要はありません。骨折の状態によっては、無血整復という身体に優しく、回復も期待できる素晴らしい選択肢があることを知ってください。
ご自身の身体のことだからこそ、納得して治療法を選びたいはずです。セカンドオピニオンとして、一度専門家にご相談いただくことをお勧めします。
コーレス骨折全体の情報や、他の症状との関連については、こちらの総合案内記事もご覧ください。
→ 【監修・柔道整復師】コーレス骨折の治療とリハビリ|手術以外の選択肢と後遺症を残さないための注意点
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