夜中や運動中に突然襲ってくる、こむら返り(足のつり)の激しい痛み。この耐えがたい痛みに対して、最も有効な応急処置が硬直した筋肉を伸ばす「ストレッチ」です。
しかし、慌てて間違った方法で伸ばすと、筋肉を傷つける「肉離れ」を引き起こすリスクもあります。結論として、こむら返りの激痛を安全に和らげる鍵は、**「反動をつけず、ゆっくり、じわじわと痛気持ちいい範囲で」**筋肉を伸ばすことです。
この記事では、いざという時に慌てず対処できるよう、安全かつ効果的なストレッチの正しい手順を部位別に徹底解説します。
なぜストレッチが有効なのか?
こむら返りは、医学的に「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」と呼ばれ、筋肉の線維が異常に収縮して硬直している状態です。ストレッチには、この硬直した筋線維を物理的に引き伸ばし、過剰な緊張を解きほぐす働きがあります。筋肉が緩むことで血流も再開しやすくなり、痛みの緩和につながるのです。
ストレッチを行う上での最大の注意点:「ゆっくり、じわじわ」
やってはいけないNG例
激痛に襲われると、早く治したい一心でつい力んでしまいがちですが、以下の行為は絶対に避けてください。
反動をつけて急激に伸ばす: 勢いよく伸ばすと、収縮している筋線維が断裂し、「肉離れ」を起こす危険性が非常に高くなります。
痛みを我慢して無理やり伸ばす: 体が「痛い」と感じるのは、それ以上伸ばすと危険だというサインです。そのサインを無視すると、同様に筋肉を傷つける原因となります。
あくまで**「痛いけれど、気持ちいい」と感じる範囲**で、ゆっくりと伸ばすことを徹底しましょう。
【部位別】安全で効果的なストレッチの正しい手順
最も多い「ふくらはぎ(腓腹筋)」のストレッチ
床に座り、つった方の脚を前にまっすぐ伸ばします。もう片方の脚は楽に曲げておきます。
背筋を軽く伸ばし、つった足のつま先をゆっくりと体の方へ引き寄せ、ふくらはぎの筋肉を伸ばします。
「痛気持ちいい」と感じるポイントで動きを止め、20〜30秒ほど静止します。

つま先に手が届かない場合は、タオルや手ぬぐいを活用します。
上記と同様に座り、つった方の足の裏(指の付け根あたり)にタオルをひっかけます。
タオルの両端を両手で持ち、ゆっくりと手前に引き寄せてふくらはぎを伸ばします。

壁から50cm〜1mほど離れて立ち、両手を壁につきます。
つった方の脚を後ろに引き、かかとを床につけたまま、壁を押すようにしてアキレス腱からふくらはぎ全体をゆっくり伸ばします。

「太ももの裏(ハムストリングス)」のストレッチ
椅子に浅く腰掛け、つった方の脚を前に伸ばし、かかとを床につけます。
背筋を伸ばしたまま、胸を張るようにして上体をゆっくりと前に倒し、太ももの裏側を伸ばします。
「足の裏・指」のストレッチ
椅子や床に座り、つった方の足首を反対側の太ももの上に乗せます。
足の指全体を掴み、ゆっくりと甲の方へ反らせるようにして、足の裏を伸ばします。
ストレッチ後のケア
痛みが和らいだ後は、以下のケアを行うと回復を助けます。
水分補給: コップ一杯の水や、電解質を含むスポーツドリンクなどを飲み、体内に水分を補給します。
保温: 蒸しタオルやカイロなどで患部を優しく温めると、血行がさらに促進され、筋肉の弛緩につながります。
公的機関の情報を知る
ストレッチングの基本的な考え方について、公的機関は以下のように説明しています。
【引用】
反動をつけずにゆっくりと、無理なく筋肉・関節を動かせる範囲内で徐々に伸ばしていきます。気持ちよく伸びていると感じるところ(痛みを感じる少し手前)まで伸ばし、その状態を20秒程度維持します。
[出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチングの実際」]
このことからも、こむら返りの対処に限らず、安全なストレッチの基本が「反動を使わず、ゆっくり伸ばす」ことにあるのがわかります。
こむら返りのストレッチに関するQ&A
Q1. ストレッチはどのくらいの強さで行うのが適切ですか?
A1. 「痛気持ちいい」と感じる範囲が最適な強度の目安です。鋭い痛みや、耐えがたい痛みを感じる場合は、伸ばしすぎのサインです。すぐに力を緩めましょう。
Q2. 痛みが引いた後、マッサージで揉んでも良いですか?
A2. 痛みが残っている時に強く揉むと、筋線維を傷つけて炎症を悪化させる(揉み返し)可能性があります。血行を促す目的であれば、手のひらで優しくさする程度に留めましょう。
Q3. 予防のために、寝る前にストレッチをするのは効果的ですか?
A3. はい、効果が期待できます。就寝前にふくらはぎやアキレス腱を軽くストレッチする習慣は、筋肉の緊張を和らげ血行を良くするため、夜間のこむら返り予防につながります。
Q4. ストレッチをしても痛みが全く引きません。どうすれば良いですか?
A4. 無理にストレッチを続けず、膝の下にクッションを入れるなど、最も楽だと感じる姿勢で安静にしてください。痛みが長時間続く、あまりに頻繁に繰り返す、しびれや足の変色を伴う場合は、他の原因も考えられるため、医療機関への相談を検討しましょう。
繰り返す痛みには、背景にある原因へのアプローチも
今回ご紹介したストレッチは、起きてしまった痛みに対する有効な応急処置です。しかし、こむら返りを頻繁に繰り返す場合、その背景には水分不足、ミネラル不足、冷え、筋肉疲労、身体の歪みなど、様々な原因が隠れている可能性があります。
以下の記事では、こむら返りを引き起こす様々な原因を網羅的に解説し、専門的な視点から、より多角的な解決策についてご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
→ 『くり返す足のつり(こむら返り)、原因は?今すぐできる対処法から専門的なアプローチまで徹底解説』
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院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
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痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。症状が改善しない、または悪化する場合には、速やかに専門の医療機関を受診してください。




