はじめに:「いつになったら、またプレーできるんだろう…」
「オスグッド病と診断され、練習を休むように言われた」
「周りはどんどん上手くなっていくのに、自分だけが取り残されていくようで焦る」
「ただ休んでいるだけで、本当に治るのだろうか?筋力が落ちてしまうのが不安だ」
オスグッド病による離脱は、選手にとって肉体的な痛みだけでなく、精神的にも大きな負担となります。特に「ただ休む」だけの期間は、先の見えない不安との戦いでもあります。
計画的なトレーニングこそが、復帰への一番の近道です
オスグッド病の期間中、ただ安静にしているだけでは、スムーズな競技復帰は望めません。痛みを悪化させない計画的なトレーニングを行い、身体の機能を維持・向上させることが、結果的に復帰までの時間を短縮し、再発予防にも繋がります。
この記事では、オスグッド病の選手が競技復帰を果たすまでの具体的な「ロードマップ」と、各段階でできるトレーニングについて詳しく解説します。
なぜ「ただ休む」だけではダメなのか?
痛みが強い急性期に安静が必要なのは事実です。しかし、必要以上に長期間、完全に運動を中止してしまうと、以下のようなデメリットが生じます。
筋力の低下: 膝周りはもちろん、体幹やお尻など、スポーツに必要な全身の筋力が低下します。
心肺機能の低下: いわゆる「体力が落ちた」状態になり、復帰後の練習についていけなくなります。
柔軟性の低下: 動かさないことで、筋肉や関節はさらに硬くなってしまいます。
パフォーマンスの低下: 筋力、体力、柔軟性が失われることで、復帰しても以前のようなプレーができず、再受傷のリスクが高まります。
スポーツ選手は,受傷によりスポーツ活動を中止せざるを得なくなると,競技に必要なあらゆる身体機能(筋力,持久力,柔軟性,敏捷性,協調性など)が低下する.
(J-STAGE「理学療法における評価・効果判定の目的とは?」より引用)
競技復帰への4段階ロードマップ
競技復帰は、焦らず段階的に進めることが重要です。痛みのレベルを「0(無痛)~10(最悪の痛み)」で自己評価しながら、各フェーズの目標をクリアしていきましょう。
| フェーズ | 痛みの目安 | 目標 | 主な取り組み内容 |
| 第1段階:急性期 | 運動時 4/10以上 安静時にも痛む | 炎症を抑え、痛みを軽減させる | アイシング、物理療法、痛みのない範囲でのストレッチ(患部以外) |
| 第2段階:回復期 | 運動時 3/10以下安静時痛は消失 | 筋力と柔軟性の回復・向上 | 痛みのないトレーニング(体幹、臀部)、患部への負荷が少ない有酸素運動 |
| 第3段階:強化期 | 軽い運動では無痛 | スポーツに近い動き作り | ジョギング、軽いダッシュ、ジャンプ動作の練習、基本的な技術練習 |
| 第4段階:復帰期 | ほぼ無痛 | チーム練習への合流と完全復帰 | 練習強度を徐々に上げる、対人練習への参加、試合形式の練習 |
【第2段階】オスグッド病でもできる!痛みのないトレーニング3選
痛みが少し落ち着いてきたら、膝に負担をかけずにできるトレーニングを開始します。目標は、身体の土台となる体幹とお尻の筋肉を強化することです。
1. プランク(体幹の安定)
腹筋や背筋など、体幹の前面を強化します。正しいフォームで行うことで、プレー中の身体のブレを防ぎます。
うつ伏せになり、両肘を肩の真下につきます。
つま先を立て、頭から踵までが一直線になるように身体を持ち上げます。
お尻が上がりすぎたり、腰が反ったりしないように注意し、30秒キープ。

2. サイドプランク(体側面の安定)
体幹の側面を強化し、左右へのブレや着地時の安定性を高めます。
横向きに寝て、肩の真下に肘をつきます。
腰を持ち上げ、頭から足までが一直線になるようにキープします。
左右それぞれ30秒ずつ行います。

3. ヒップリフト(お尻の強化)
お尻の筋肉(大臀筋)を鍛えることで、着地時の衝撃を吸収し、膝への負担を直接的に軽減します。
仰向けに寝て、両膝を90度程度に曲げます。
お尻を意識しながら、肩から膝までが一直線になるように、ゆっくりと腰を持ち上げます。
一番高い位置で3秒キープし、ゆっくりと下ろします。これを15回繰り返します。

よくあるご質問(Q&A)
Q1: トレーニング中、どのくらいの痛みなら許容できますか?
A1: 一般的には、「痛みが10段階中の3以下」が一つの目安です。トレーニング中やトレーニング後に痛みが増すようであれば、それは負荷が強すぎるサインです。強度を落とすか、そのトレーニングを中止しましょう。
Q2: いつから走り始めても良いですか?
A2: 上記のロードマップにおける「第3段階:強化期」に入ってから、まずは軽いジョギングから開始します。目安としては、「片足で軽くジャンプしても痛みがない」「早歩きで痛みがない」といった状態になってからです。焦って走り始めると、炎症が再燃する可能性が高いので注意が必要です。
Q3: 復帰を早めるために、他にできることはありますか?
A3: 質の良い睡眠と、栄養バランスの取れた食事が不可欠です。身体は寝ている間に修復されます。また、筋肉や骨の材料となるタンパク質やカルシウム、ビタミン、ミネラルを意識的に摂取することも、回復をサポートします。
まとめ:焦らず、賢く、そして強くなって戻ろう
オスグッド病による離脱期間は、決して無駄な時間ではありません。痛みを悪化させない正しい知識を持ち、計画的にトレーニングに取り組むことで、これまで意識してこなかった体幹やお尻の筋力を強化し、以前よりも高いパフォーマンスで復帰できる可能性を秘めています。
焦る気持ちは分かりますが、この期間を「身体を作り直すチャンス」と捉え、一緒に一歩ずつ着実に進んでいきましょう。
なぜ、そもそも身体のバランスが崩れてしまったのか?
この記事では、競技復帰までの道のりについて解説しました。しかし、なぜオスグッド病になるほど膝に負担がかかってしまったのか、その大元にある「身体の使い方のクセ」や「回復力の低下」については、さらに深い原因が隠れている場合があります。
当院では、なぜ痛みが長引くのか、その背景にある「脳の疲労」や「自律神経」に着目したアプローチを行っています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
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【監修】
院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師
痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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