骨折や捻挫などのケガをした際、「接骨院では超音波エコー」「整形外科ではレントゲン」という検査を受けることがあります。これらはどちらも体の内部を見るための重要な検査ですが、その目的や見えるもの、そしてそれぞれの役割は大きく異なります。
この記事では、接骨院で活用される超音波エコーの特長に焦点を当てながら、医療機関で行われるレントゲン検査との役割の違い、そして両者がどのように連携して回復をサポートするのかを詳しく解説します。
超音波エコーとレントゲンの最も大きな違い
超音波エコーとレントゲンは、優劣を競うものではなく、それぞれに得意分野がある補完関係の検査です。
接骨院の超音波エコー: 得意なのは、筋肉、靭帯、腱といった「軟部組織」や、骨折の「回復過程」をリアルタイムで観察することです。身体への負担がなく、動きながらの状態も確認できます。
整形外科のレントゲン: 得意なのは、骨の全体像を鮮明に写し出し、骨折の有無やズレの状態を正確に「診断」することです。骨折治療の初期方針を決定するために不可欠です。
結論: 両者は見るものが異なり、それぞれの専門家がその特性を最大限に活かしています。適切な時期に両方の検査情報を用いることが、より安全でスムーズな回復につながります。
接骨院における超音波エコーの役割と4つの特長
接骨院では、ケガの状態を詳細に、そして多角的に把握するための観察装置として、超音波エコーを最大限に活用します。
1. リアルタイムで『動き』を観察できる
超音波エコーの最大の特長の一つが、筋肉の収縮や関節の動き、靭帯の様子などを「動き」の中でリアルタイムに観察できる点です。静止画であるレントゲンとは異なり、動的な観察によって、特定の動作で痛みが出る原因を探ることにも役立ちます。
2. 軟部組織(筋肉・靭帯・腱)の損傷を詳細に把握
レントゲンには骨しか写りませんが、超音波エコーは、肉離れ(筋損傷)や捻挫(靭帯損傷)、腱の断裂といった、いわゆる「軟部組織」の状態を非常に詳細に観察できます。

3. 骨折の回復過程を『見える化』する
骨折の回復期において、超音波エコーは大きな力を発揮します。レントゲンでは確認しにくい、治癒の初期段階で作られる「線維性仮骨(せんいせいかこつ)」という新しい骨の元を鮮明に捉えることができます。これにより、固定の除去やリハビリ開始の最適なタイミングを、より的確に判断する材料となります。
4. 身体への負担がない
超音波エコーは放射線を使用しないため、身体への負担が全くありません。小さなお子さんや妊娠中の方でも、安心して繰り返し観察に用いることができる、非常に安全な装置です。
医療機関でのレントゲン診断の重要性
レントゲン検査は、骨折の有無、位置、骨のズレの程度などを正確に把握し、医師が最終的な「診断」を下すために不可欠な検査です。治療の初期方針(手術が必要か、保存療法でいくかなど)を決定する上で、最も重要な情報源となります。
接骨院と医療機関の法に基づいた連携体制
接骨院での超音波エコーによる観察と、医療機関でのレントゲンによる診断。この二つは単なる役割分担ではなく、法律で定められた手順に則った、患者さんのための重要な連携体制です。
1. 接骨院での応急処置
まず、ケガをされた際には、接骨院で超音波エコーを用いて骨の状態を詳細に観察します。骨にズレ(転位)が認められる場合は、法律で認められている「応急処置」として、手技によって骨を元の位置に戻す徒手整復と固定を行います。
2. 医療機関でのレントゲン診断と医師の同意
応急処置の後、速やかに提携する医療機関を受診し、レントゲン検査を受けていただきます。そして、医師による正確な診断に基づき、その後の施術(後療法)に対する「同意」を得ます。
3. 医師の同意のもとでの後療法
この医師の同意があって初めて、接骨院で骨折が治癒するまで継続的な施術(後療法)を行うことが可能になります。
このように、接骨院での迅速な応急処置と、医療機関での正確な診断・同意というプロセスを踏むことで、法律を遵守しながら、安全かつ効果的に回復までをサポートする体制を整えています。
柔道整復師による超音波の活用について
柔道整復師が超音波画像観察装置を活用する有用性について、専門機関は以下のように述べています。
引用
超音波画像観察装置は、人体に無害で、軟部組織(筋・腱・靱帯など)の損傷や骨折の整復後の状態などをリアルタイムに観察できる、柔道整復師にとって非常に有用な装置です。レントゲンでは確認できない微細な骨折の発見や、骨折の治癒過程の観察…などに活用され、的確な施術を行う上で大きな役割を果たしています。
超音波エコーに関するよくあるご質問(Q&A)
Q1. 超音波エコーだけで骨折のすべてがわかりますか?
A1. いいえ、全てがわかるわけではありません。超音波エコーは軟部組織や骨の表面の観察に優れていますが、骨の深部や全体像を一度に把握するのはレントゲンの方が適しています。そのため、両方の情報が重要になります。
Q2. 超音波エコーの観察はどのくらいの頻度で行いますか?
A2. ケガの状態や回復段階によりますが、身体への負担がないため、来院ごとに毎回観察することも可能です。回復過程を細かく追うことで、その時々の状態に合わせた最適な施術プランを立てることができます。
Q3. 観察に痛みは伴いますか?
A3. 超音波エコー自体に痛みは全くありません。体に装置のプローブを当てるだけです。ただし、ケガをした直後で腫れがひどい場合などは、プローブが触れることで多少の痛みを感じることはあります。
Q4. なぜ接骨院でエコーを受けた後に、整形外科でレントゲンを撮る必要があるのですか?
A4. 法律上、骨折の最終的な「診断」は医師のみが行うことができます。接骨院では超音波エコーで状態を詳細に「観察」し、応急処置を行いますが、その後の治療方針を確定するためには、医師によるレントゲン診断が不可欠だからです。
まとめ:より詳しい骨折治療については
接骨院で活用される超音波エコーと、医療機関のレントゲンは、それぞれ異なる重要な役割を担っています。超音波エコーは、特に骨折の回復過程や軟部組織の状態をリアルタイムで「見える化」することに長けており、患者さんが安心して施術を受けるための大きな助けとなります。
骨折の回復期間の目安や、部位別の注意点、日常生活の過ごし方など、骨折治療に関する網羅的な情報については、以下のピラーコンテンツ(中心記事)で詳しく解説しています。
[骨折したら最初に読む記事|骨がつく期間の目安から生活の注意点まで網羅]
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一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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