「公園の遊具から落ちた」「スポーツ中に転んでしまった」など、子供のケガは予測不可能な日常の中に潜んでいます。しかし、その一瞬の出来事が、骨の成長に影響を及ぼす骨折につながっているかもしれません。
子供の骨は大人と性質が異なり、ケガの状況によって起こりやすい骨折のパターンも異なります。
この記事では、子供がケガをしやすい具体的なシーン別に、起こりやすい骨折の種類、保護者が確認すべきポイント、そして大人とは違う子供の骨の特徴について解説します。
子供のケガで「骨折を疑うべき」3つの状況
お子さんがケガをした際、以下のいずれかの状況が見られる場合は、ただの打撲ではない可能性を考え、専門家への相談を検討してください。
強い腫れと内出血: ケガをした部分がパンパンに腫れあがる、広範囲にわたって青紫色に変色するなど、打撲にしては程度が強い場合。
動かさない・使わない: 痛いと口にしなくても、ケガをした手や足を全く使おうとしない、かばうような不自然な動きをする場合。
明らかな変形: 指が不自然に曲がっている、腕や足の形が左右で違うなど、見た目で異常がわかる場合。(※ただし、変形がなくても骨折していることは多々あります)
なぜ?子供の骨折が大人と違う理由
子供の骨折への対応が大人と異なるのは、その骨の性質に理由があります。
柔らかさと骨膜の強さ: 子供の骨は柔軟で、丈夫な骨膜に覆われています。そのため、ポキッと完全に折れるのではなく、骨の一部がつながったままグニャリと曲がる「若木骨折」などが起こりやすいのです。
成長点「骨端線」の存在: 骨の両端には、成長を担う軟骨「骨端線」があります。この柔らかい部分を損傷すると、将来の骨の成長に影響が出るリスクがあるため、特に慎重な対応が求められます。

驚異的な治癒力: 子供の骨は治りが早い反面、ズレたままの状態で放置すると、その形のまま急速に固まってしまいます。だからこそ、早期の正しい処置が何よりも重要なのです。
【シーン別】こんな時は要注意!子供の骨折チェックリスト
子供がケガをしやすい具体的な状況と、その際に特に注意して見るべきポイントをまとめました。
シーン1:公園の遊具(うんてい、ジャングルジム、すべり台)から落ちた
【起こりやすい骨折】
手をついて転落することが多く、**肘(上腕骨顆上骨折)や手首(橈骨遠位端骨折)**の骨折が非常に多くみられます。特に肘の骨折は、神経や血管を傷つけることもあるため注意が必要です。
【チェックポイント】
腕をだらんと下げたまま、上げようとしないか?
肘や手首が大きく腫れていないか?
指先の色が悪くなったり、しびれたりしていないか?
シーン2:スポーツ中(サッカー、鬼ごっこなど)に転んだ
【起こりやすい骨折】
走っている最中の転倒では、肩から落ちて鎖骨を折ったり、足首をひねって**足首の骨(骨端線損傷)**を折ったりすることがあります。
【チェックポイント】
鎖骨のあたりに、盛り上がりやへこみ、段差ができていないか?
痛がる方の腕を、反対の手で支えるような姿勢をとっていないか?
足首の腫れがひどく、体重をかけることができないか?
シーン3:家の中(ベッドからの転落、指を挟むなど)でのケガ
【起こりやすい骨折】
ベッドからの転落では、乳幼児の場合、頭を支えようとして鎖骨を折ることがあります。ドアなどで指を挟んだ場合は、**指の骨折(特に末節骨)**が考えられます。
【チェックポイント】
抱き上げた時に、特定の場所を触ると激しく泣かないか?
指の爪の下に内出血(爪下血腫)ができていないか?
指を曲げ伸ばししようとしないか?
子供の骨折における診断の難しさとリスク
子供の骨折は、診断が難しい場合があること、そして成長への影響という特有のリスクがあることを理解しておく必要があります。
引用
子どもの骨は成長する部分があり、骨折の部位や年齢によっては成長障害(変形や短縮)を残すことがあります。また、レントゲンでは異常がないように見えても、実際には骨折している場合もあり、早期に適切な治療を受けなければ後遺症を残すこともあります。
子供の骨折に関するよくあるご質問(Q&A)
Q1. 痛がらなくても骨折していることはありますか?
A1. はい、あります。特に若木骨折や隆起骨折では、痛みが比較的軽いために子供が遊び続けてしまうこともあります。しかし、骨は確実に損傷しています。「ケガをしたほうの手足を使わない」といった行動の変化を見逃さないことが重要です。
Q2. 湿布を貼っておけば大丈夫ですか?
A2. 湿布は炎症を抑え、痛みを和らげる効果はありますが、骨折そのものを治すものではありません。冷却材として使用するのは有効ですが、骨折の疑いがある場合は、まず専門家の診断を受けることが最優先です。
Q3. 接骨院と整形外科、どちらに行けばいいですか?
A3. どちらも骨折の専門家ですが、役割が異なります。接骨院では応急処置やその後のリハビリ、整形外科ではレントゲン診断や手術などを行います。まずは、どちらでも構いませんので、早急に専門家に見せることが大切です。
Q4. 固定が取れたら、もう安心ですか?
A4. 骨が癒合しても、それで終わりではありません。特に骨端線を損傷した場合は、その後の成長に影響が出ていないか、長期的に経過を観察する必要があります。
まとめ:より詳しい骨折治療については
子供のケガは、状況によって骨折のリスクや種類が異なります。どのような状況であれ、保護者の冷静な観察と「おかしいな」と感じた際の早期受診が、お子さんの健やかな成長を守る上で最も重要です。
【若木骨折の専門的な治療法について】
この記事では子供の骨折の注意点全般を解説しました。「若木骨折」のより詳しいメカニズムや専門的な治療法、超音波エコーによる観察については、以下のページで詳しく解説しています。
【骨折全般の知識について】
骨折全体の回復プロセスや、骨の修復をサポートする栄養素など、より網羅的な情報については、以下の中心記事をご覧ください。
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【監修】
院長:蛯原 吉正(EBIHARA YOSHIMASA)
資格:柔道整復師
痛みのある箇所だけに対処するのではなく、なぜそこに痛みが生じているのか、その背景にある本当の原因を追究することを信条としています。
一人ひとりの身体の状態や生活習慣と真摯に向き合い、不調が再発しにくい身体づくりをサポートすること。そして、来院された方が不安なく、健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをすることを目指しています。
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【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。症状が改善しない、または悪化する場合には、速やかに専門の医療機関を受診してください。




