「マレットフィンガーを放置したら、指がガタガタの形になってしまった…」
「指の第二関節が逆に反るようになってしまったけど、これは何?」
マレットフィンガーの受傷後、このような第二の変形に悩まれる方がいらっしゃいます。この、指の第一関節が曲がり、第二関節が反り返って、まるで白鳥(スワン)の首のように見える変形を**「スワンネック変形」**と呼びます。
この記事では、まず結論として、スワンネック変形を防ぐために最も重要なこと、そして変形の原因や対処法について詳しく解説します。
スワンネック変形を防ぐ、最も重要なこと
スワンネック変形を防ぐために最も重要なことは、原因となるマレットフィンガーを、受傷後すみやかに、そして適切な方法で処置することです。
マレットフィンガーによる腱や骨の損傷を放置したり、自己判断で固定を外したりすると、指の伸筋腱と屈筋腱のバランスが崩れ、二次的な変形であるスワンネック変形を引き起こすリスクが非常に高くなります。適切な初期対応こそが、最良の予防策です。
【Q&A】スワンネック変形に関するよくある質問
Q1. スワンネック変形は、一度なると元に戻らないのですか?
A1. 保存的なアプローチでは、専用の装具(スプリント)を用いて関節を正しい位置に保持し、変形の進行を抑えたり、症状の緩和を目指したりします。関節の動きを改善するための運動療法も行いますが、変形が固まってしまっている場合は、完全な回復が難しいケースもあります。
Q2. スワンネック変形になると、痛みはありますか?
A2. 変形そのものに強い痛みがない場合もありますが、指を動かしにくくなったり、物をつまむ動作が困難になったりすることで、日常生活に支障が出ることがあります。また、関節に負担がかかることで、二次的な痛みが生じることもあります。
Q3. マレットフィンガーになったら、必ずスワンネック変形になりますか?
A3. いいえ、必ずなるわけではありません。マレットフィンガーを受傷後、速やかに専門家の診断を受け、指示された期間、適切な固定を厳守すれば、スワンネック変形への移行は防げる可能性が非常に高いです。
スワンネック変形のメカニズム:なぜ指はガタガタになるのか?
指の関節を曲げ伸ばしする腱のシステムは、非常に繊細なバランスで成り立っています。
マレットフィンガーの発症: まず、指の第一関節(DIP関節)を伸ばす伸筋腱が損傷します。これにより、第一関節が曲がったままになります。
力の伝達異常: 第一関節を伸ばせなくなった伸筋腱の力が、指の真ん中にある第二関節(PIP関節)に集中してしまいます。
第二関節の過伸展: 本来分散されるべきだった指を伸ばす力が、第二関節に過剰にかかり続けることで、関節が逆に反り返ってしまいます(過伸展)。
この一連のバランス崩壊が、指が「く」の字やガタガタに見えるスワンネック変形の正体です。
スワンネック変形の最大の予防策は「正しい初期対応」
前述の通り、この二次的な変形を防ぐ鍵は、最初のマレットフィンガーをいかに正しく処置するかにかかっています。
自己判断で放置しない: 「ただの突き指だろう」と軽視することが、最も危険です。
速やかに専門家へ相談する: 状態を正確に把握し、適切な固定をすることが重要です。
固定を厳守する: 指示された固定期間中は、絶対に自己判断で装具を外さないでください。わずかな時間でも指を曲げてしまうと、治癒しかけた腱が伸びてしまい、変形のきっかけとなります。
引用
整形外科および手の外科領域の学術誌である「Journal of Hand Surgery」では、マレットフィンガーの不適切な管理が二次的な変形につながる可能性について、次のように示唆されています。「末節骨(指の先端の骨)の伸展が適切に維持されない場合、伸筋メカニズムの不均衡が生じ、PIP関節(第二関節)の過伸展、すなわちスワンネック変形を引き起こす可能性がある。」
(出典: Journal of Hand Surgery – Mallet Finger Complications and Management)
この引用が示すように、専門的な観点からも、マレットフィンガーの初期における「適切な固定の維持」が、スワンネック変形の予防に極めて重要であるとされています。
もし、すでに指の変形が始まってしまっている場合でも、あきらめる必要はありません。専用の装具療法や運動療法によって、症状の進行を防ぎ、機能の改善を目指すことは可能です。
指の変形や痛みにお気づきの際は、できるだけ早く専門家にご相談ください。
より詳しいマレットフィンガーの施術については、こちらのメイン記事をご覧ください
今回の記事では、マレットフィンガーの後に起こりうる「スワンネック変形」について解説しました。
この変形を防ぐための最も重要な**「マレットフィンガーの正しい初期対応」**について、原因から具体的な施術内容、セルフケアの方法までを網羅的に解説したメインコンテンツをご用意しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
→ [【総合解説】マレットフィンガーの原因から施術、セルフケアまで]
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