コーレス骨折の治療を受け、固定やリハビリに励んでいると、「本当に元通りに動くようになるだろうか」「後遺症が残ってしまったらどうしよう」といった不安を感じることがあるかもしれません。
コーレス骨折は、適切な初期治療と計画的なリハビリテーションを行えば、多くの場合、良好な機能回復が期待できる骨折です。しかし、残念ながら合併症が起こり、後遺症につながる可能性もゼロではありません。
大切なのは、起こりうる合併症について正しく理解し、ご自身の身体の状態を注意深く観察することです。この記事では、コーレス骨折後に起こりうる主な合併症の種類と、ご自身でできるセルフチェックの方法、そして後遺症を防ぐための重要なポイントを解説します。
知っておきたい、コーレス骨折後に起こりうる合併症
コーレス骨折の経過中、あるいは治療後に、以下のような合併症が起こることがあります。これらが後遺症として残らないよう、早期の気づきと適切な対応が重要です。
1. 関節拘縮(かんせつこうしゅく)
長期間の固定によって、手首や指の関節が硬くなり、動かせる範囲(可動域)が狭くなってしまう状態です。固定が外れた後も「手首が曲がりにくい」「指がこわばって動かしづらい」といった症状が続きます。
2. 神経症状(正中神経麻痺など)
骨折による腫れや、骨のずれ、あるいは骨が癒合する過程で、手首を通る神経(特に正中神経)が圧迫されることで生じます。親指から薬指の半分にかけて、しびれやピリピリとした痛み、感覚の鈍さなどが現れます。進行すると、親指の付け根の筋肉が痩せてしまい、物をつまむ動作が困難になる「手根管症候群」に移行することもあります。
3. 変形治癒(へんけいちゆ)
ずれた骨が正しい位置に戻らないまま癒合してしまう状態です。手首の見た目が変形するだけでなく、手首の動きが悪くなったり、特定の動作で痛みが出たり、握力が低下したりする原因となります。
4. 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
骨折の重症度とは不釣り合いな、激しい痛みや腫れ、皮膚の色の変化(赤くなる、紫色になるなど)、異常な発汗などが続く、非常に複雑な状態です。触れるだけでも激痛が走ることがあり、専門的な治療が必要となります。
5. 腱の断裂や腱鞘炎
変形して治癒した骨の角が、手首を動かす腱とこすれることで、腱がすり減って切れてしまったり(腱断裂)、腱の通り道である腱鞘に炎症が起きたり(腱鞘炎)することがあります。特に、親指を伸ばす腱で起こりやすいとされています。
異常のサインを見逃さない!自宅でできるセルフチェックリスト
治療中やリハビリ中に「何かおかしいな?」と感じたら、以下の項目をチェックしてみてください。ご自身の身体の状態を把握し、専門家に正確に伝えるために役立ちます。
見た目のチェック
固定が外れた後も、パンパンに腫れている状態が続いていないか?
手首の変形が明らかに気になるか?
患部の皮膚の色が、もう片方の手と比べて明らかに赤黒かったり、白っぽかったりしないか?
動きのチェック
指をスムーズに「グー」「パー」できるか?(特に、指が完全に伸びきらない、握りきれないなど)
親指と小指の先をくっつけることができるか?
専門家から指導されたリハビリの範囲で、手首の動きが改善している実感があるか?
感覚のチェック
指先にしびれやピリピリした感じが続いていないか?
しびれや痛みの範囲が広がったり、強くなったりしていないか?
患部を触ったときの感覚が、明らかに鈍くなっていないか?
痛みのチェック
安静にしていてもズキズキと痛むか?
夜、痛みで目が覚めることがあるか?
服が触れたり、少し物に当たったりしただけで、飛び上がるような痛みがないか?
【重要】もし、一つでも当てはまる項目があり、不安を感じる場合は、自己判断で様子を見ずに、必ずかかりつけの先生に相談してください。
後遺症を防ぐための最大の鍵は「適切な初期治療」と「計画的なリハビリ」
これらの後遺症を防ぐために最も重要なことは、骨折直後の「適切な初期治療」と、その後の「計画的なリハビリテーション」です。
ポイント1:適切な初期治療
骨折した骨をいかに正確に元の位置に戻し(整復)、再びずれないように適切に固定できるかが、変形治癒や神経症状を防ぐための第一歩です。
ポイント2:計画的なリハビリ
専門家の指導のもと、適切な時期に、適切な強度のリハビリを開始・継続することが、関節拘縮を防ぎ、筋力や機能を取り戻す上で不可欠です。痛みが強いからといって全く動かさなかったり、逆に焦って無理なトレーニングをしたりすることは、回復を妨げる原因となります。
コーレス骨折後の経過には個人差があります。焦りや不安を感じることもあるかと思いますが、ご自身の身体と向き合い、専門家と二人三脚で治療とリハビリを進めていくことが、後遺症を残さず、快適な日常生活を取り戻すための最も確実な道筋です。
コーレス骨折全体の情報や、万が一怪我をしてしまった際の治療法については、こちらの総合案内記事もご覧ください。
→ 【監修・柔道整復師】コーレス骨折の治療とリハビリ|手術以外の選択肢と後遺症を残さないための注意点
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