専門家が教える自宅でできる簡単ストレッチ&マッサージ5選

「顎の痛みを、少しでもいいから今すぐ和らげたい」
「仕事の合間に、ガチガチになった顎周りをほぐす方法はないかな?」
「毎日続けられる、簡単なセルフケアが知りたい」

顎に不調があると、日々の生活の質は大きく下がってしまいます。専門家による施術はもちろん重要ですが、それと並行してご自宅で適切なセルフケアを行うことで、症状の緩和や再発予防に大きな効果が期待できます。

この記事では、顎関節症の症状緩和に役立つ、安全で簡単なストレッチとマッサージを5つ、専門家の視点から厳選してご紹介します。

始める前に必ずお読みください【3つのお約束】

セルフケアは、正しく行えば大きな味方になりますが、やり方を間違えると症状を悪化させる可能性もあります。以下の3つの約束を必ず守ってください。

  1. 絶対に無理をしないこと
    痛みを感じる場合は、すぐに中止してください。「痛いけど気持ちいい」もNGです。痛みのない、心地よい範囲で行いましょう。特に、急に痛くなった場合や、顎が腫れている、熱を持っている場合は行わないでください。

  2. 「ゆっくり」「優しく」を心がけること
    すべての動作は、ゆっくりとした呼吸に合わせて、優しい力で行います。強い力で押したり、勢いよく伸ばしたりするのは逆効果です。

  3. あくまで症状緩和が目的であること
    これらのセルフケアは、症状を一時的に和らげ、日々の負担を軽減するためのものです。根本的な原因の解決には、専門家による適切な評価と施術が必要です。

1. 咬筋(こうきん)マッサージ

【こんな方におすすめ】
頬のあたりが重だるい、歯を食いしばる癖がある

「咬筋」は、歯を食いしばった時に頬で硬くなる、非常に強力な筋肉です。ここが緊張すると、顎の痛みや開口障害の直接的な原因となります。

【やり方】

  1. 楽な姿勢で座り、口を軽く開けます。

  2. 人差し指・中指・薬指の3本の指の腹を、頬骨の下あたりに当てます。

  3. 軽く歯を食いしばり、筋肉が硬くなる場所を確認します。

  4. 力を抜き、指の腹で「気持ちいい」と感じる程度の圧をかけながら、ゆっくりと円を描くように優しくほぐします。(約30秒)

  5. 少しずつ指の位置をずらしながら、頬全体をほぐしましょう。

【ポイント】
爪を立てず、指の腹全体で圧をかけるのがコツです。

2. 側頭筋(そくとうきん)マッサージ

【こんな方におすすめ】
こめかみが痛む、顎の痛みと同時に頭痛がする

「側頭筋」は、こめかみから耳の上にかけて広がる、うちわのような形の大きな筋肉です。咬筋と同様に、噛む時に使われるため、ここが凝ると頭痛や顎の痛みを引き起こします。

【やり方】

  1. 楽な姿勢で座ります。

  2. 両手の指の腹を、左右のこめかみに当てます。

  3. 軽く歯を食いしばると、筋肉が少し動くのが分かります。

  4. 力を抜き、指の腹で心地よい圧をかけながら、後ろに向かってゆっくりと円を描くようにほぐします。(約30秒)

【ポイント】
頭皮をマッサージするような感覚で、リラックスしながら行いましょう。

3. 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)ストレッチ

【こんな方におすすめ】
首こり・肩こりがひどい、顎の動きが悪い

「胸鎖乳突筋」は、耳の後ろから鎖骨の内側にかけて斜めに走る、首の太い筋肉です。この筋肉が硬くなると、首の動きが悪くなるだけでなく、顎の動きにも大きな影響を与えます。

【やり方】

  1. 背筋を伸ばして座ります。

  2. 右手を左の鎖骨の上にそっと置きます。

  3. 首をゆっくりと右後ろに傾け、左の首筋が心地よく伸びるのを感じます。(15秒キープ)

  4. この時、少し顎を上に突き出すようにすると、よりストレッチ感が高まります。

  5. ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様に行います。

【ポイント】
鎖骨の上に置いた手で、皮膚を軽く下に引っ張るようにすると、ストレッチ効果が上がります。

4. 肩甲骨回し

【こんな方におすすめ】
デスクワークが多い、猫背気味である

顎と直接関係ないように思えますが、肩甲骨周りの筋肉が固まると、巡り巡って首や顎の緊張につながります。

【やり方】

  1. 椅子に座るか、楽に立ちます。

  2. 両手の指先を、左右それぞれの肩にそっと置きます。

  3. 肘で大きな円を描くように、ゆっくりと腕を後ろに回します。(10回)

  4. 次に、前に向かって同じようにゆっくりと回します。(10回)

【ポイント】
腕を回すのではなく、「肩甲骨」から大きく動かすことを意識しましょう。

5. 顎のリラックス体操(タッピング)

【こんな方におすすめ】
無意識に食いしばってしまう、顎周りの緊張が抜けない

顎の力を抜く感覚を、身体に覚えさせるための簡単な体操です。

【やり方】

  1. 楽な姿勢で座り、顔の力を完全に抜いて、口を半開きにします。

  2. 人差し指と中指で、顎の先(オトガイ)を、優しく「トントントン」と下方向に軽く叩きます。(30秒程度)

  3. 顎が自然に揺れ、筋肉の力が抜けていくのを感じましょう。

【ポイント】
絶対に力を入れず、「顎の力を抜くにはどうすればいいかな?」と身体に問いかけるように行いましょう。

セルフケアをより効果的にするための3つのポイント

  1. お風呂上がりに行う
    身体が温まっている時は、筋肉が緩みやすく、血行も良くなっているため、セルフケアの効果が最も高まります。

  2. 深い呼吸を意識する
    すべてのストレッチ・マッサージは、ゆっくりとした深い呼吸とともに行いましょう。息を吐く時に筋肉は緩みやすくなります。

  3. 毎日少しずつ続ける
    一度に長時間やるよりも、1回5分でも良いので、毎日続けることが大切です。

まとめ:セルフケアは、専門家との二人三脚

今回ご紹介したセルフケアは、日々の不調を管理し、快適な時間を増やすための強力なツールです。
しかし、これらを続けても症状が改善しない、または悪化する場合は、セルフケアだけでは対応できない根本原因が隠れているサインです。

顎関節症全体の情報や、他の症状との関連については、こちらの総合案内記事もご覧ください。
長引く顎の痛み、もう諦めない。顎関節症の多様な原因と当院の新しいアプローチ

私たち専門家による施術と、あなたご自身によるセルフケアを組み合わせることで、症状はより良い方向へと向かいます。一人で抱え込まず、ぜひ私たちにご相談ください。

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【監修】

蛯原 吉正(柔道整復師)

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免責事項

このブログ記事は、顎関節症に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。記載されている内容は、一般的な知見に基づくものであり、効果には個人差があります。症状の診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。当ブログの情報に基づいてご自身の判断で行ったいかなる行為に関しても、当院は一切の責任を負いかねます。