顎の痛みの本当の原因?首や肩の「トリガーポイント」について詳しく解説

「顎が痛いから、顎の周りを一生懸命マッサージしている」
「湿布を貼ってみるけど、痛みはまたすぐに戻ってくる」
「特に顎を酷使した覚えはないのに、なぜかズキズキ痛む…」

もしあなたが、このような経験をしているなら、そのアプローチは、火災報知器が鳴っている部屋で、報知器自体を冷やしているようなものかもしれません。本当に消すべき**「火元」**は、全く別の場所にある可能性が非常に高いのです。

その火元の正体こそが、**「トリガーポイント」**です。
この記事では、あなたの長引く顎の痛みの、隠れた真犯人である「トリガーポイント」について、その正体と、なぜそれが顎の痛みを引き起こすのかを詳しく解説します。

そもそも「トリガーポイント」とは何か?

トリガーポイントを簡単に説明すると、**「筋肉の中にできた、硬いしこりのようなもの」**です。
長時間のデスクワークやストレス、不良姿勢などによって、特定の筋肉に負担がかかり続けると、筋肉の繊維が酸欠状態になり、けいれんを起こしたように硬く縮こまってしまいます。これがトリガーポイントの始まりです。

このトリガーポイントには、2つの非常に厄介な性質があります。

  1. 押すと、飛び上がるほど痛い(圧痛点)。

  2. そこから離れた場所に、痛みを飛ばす(関連痛)。

この2つ目の「関連痛」こそが、顎の痛みの謎を解く最大の鍵となります。

最大の謎「関連痛」のメカニズム

なぜ、首や肩にある「しこり」が、遠く離れた「顎」の痛みを引き起こすのでしょうか。

これは、神経の「勘違い」によって起こります。
首や肩の筋肉と、顎や顔周りの感覚を脳に伝える神経は、非常に近い場所を通っています。トリガーポイントから発せられた痛みの信号が、神経を伝って脳に送られる際に、脳が「この信号は、顎から来ているものだ!」と発信元を勘違いしてしまうのです。

まるで、隣の家から出ている火事の煙が、自分の家の窓から入ってきて、自分の家が火事だと勘違いしてしまうようなものです。いくら自分の家(顎)に水をかけても、隣の家(首や肩)の火を消さない限り、煙(痛み)は流れ込み続けるのです。

顎の痛みを引き起こす代表的な「犯人」3選

では、具体的にどの筋肉にあるトリガーポイントが、顎の痛みを引き起こしやすいのでしょうか。代表的な3つの筋肉をご紹介します。

犯人1:胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)

首を横に向けると、耳の後ろから鎖骨にかけて浮き出る太い筋肉です。

  • 特徴:
    この筋肉にトリガーポイントができると、頬、顎関節の周辺、こめかみ、そして耳の奥にまで痛みを飛ばします。顎の痛みだけでなく、「原因不明の耳の痛み」として現れることも非常に多い、最も代表的な犯人です。

犯人2:僧帽筋(そうぼうきん)上部線維

首の付け根から肩先にかけて広がる、いわゆる「肩こり」を感じる筋肉です。

  • 特徴:
    この筋肉の首に近い部分にトリガーポイントができると、**こめかみや、下顎の角(エラの部分)**に、重だるい痛みを飛ばします。緊張型頭痛の原因にもなるため、頭痛と顎の痛みを併発している方は、この筋肉が原因である可能性が高いです。

犯人3:咬筋(こうきん)

歯を食いしばった時に、頬で硬くなる筋肉です。

  • 特徴:
    この筋肉は顎に直接ついていますが、そのトリガーポイントは、上の歯や下の歯の奥、そして耳の前に痛みを飛ばします。まるで虫歯のような痛みを感じさせるため、歯医者さんに行っても異常が見つからない「歯の痛み」の正体であることも少なくありません。

なぜ自分で揉んでもダメなのか?

「じゃあ、その筋肉を自分でマッサージすればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、トリガーンポイントは、筋肉の非常に深い層に、数ミリ単位の小さなしこりとして存在していることが多く、専門家でなければ正確な場所を見つけるのは困難です。

また、やみくもに強く押しすぎると、周りの正常な筋肉や神経を傷つけてしまい、かえって症状を悪化させてしまう危険性もあります。

当院の専門的アプローチ:高感度センサーで「火元」を特定

当院では、この隠れた「火元」であるトリガーポイントを正確に見つけ出し、的確にアプローチするために、特殊な治療器**「ノーマライザ」**を使用します。

ノーマライザは、身体に流れるごく微弱な電気の状態を読み取る、高感度のセンサーのような働きをします。トリガーポイントがある場所は、筋肉が異常に興奮して電気的な乱れが生じているため、ノーマライザを皮膚の上で滑らせるだけで、指では届かない深層にあるトリガーポイントの正確な位置を特定することができるのです。

そして、特定したトリガーポイントに的確な電気刺激を与えることで、筋肉の異常な興奮を鎮め、血流を改善し、「しこり」そのものを緩めていきます。

まとめ:痛む場所と、原因の場所は違う

もし、あなたが長年続く顎の痛みに悩んでいるなら、一度、「痛い場所=原因の場所」という考え方をリセットしてみてください。あなたのその不調は、顎の問題ではなく、首や肩からのSOSサインなのかもしれません。

顎関節症全体の情報や、他の症状との関連については、こちらの総合案内記事もご覧ください。
長引く顎の痛み、もう諦めない。顎関節症の多様な原因と当院の新しいアプローチ

本当の「火元」を見つけ出し、的確にアプローチすることで、長年の悩みから解放される可能性があります。諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。

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【監修】

蛯原 吉正(柔道整復師)

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免責事項

このブログ記事は、顎関節症に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。記載されている内容は、一般的な知見に基づくものであり、効果には個人差があります。症状の診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。当ブログの情報に基づいてご自身の判断で行ったいかなる行為に関しても、当院は一切の責任を負いかねます。