CRPS(RSD)と診断されていろいろな治療法を試してみたものの、なかなか引かない痛みにお悩みの方はいらっしゃいませんか?難治性と言われているCRPSにも、タイプによってはBFI療法が効果を表します。
また、痛み刺激に敏感な「CRPS体質」なるものが存在します。
このブログを読んでいただく事によって少しの方にでもCRPSについて知って頂きたいという思いがあります。
今回のブログではCRPSに対しての考え方と当院での施術法をお伝えいたします。
Contents
CRPS(RSD)とは
CRPS(RSD)とは、別名「複合性局所疼痛症候群」と言われています。
英語で置き換えると「complex regional pain syndrome」となりますが、その頭文字をとったもので、疾患でなく病態の集合体である症候群です。
以前は、反応性交感神経性ジストロフィー「RSD(reflex sympathetic dystrophy)」などさまざまな呼称で呼ばれていました。
CRPSはさまざまな原因で発症し、多くの方がお悩みの事だと思います。
しかしながら、患者様を扱う医療者(ドクターを含む)の中にCRPSを知らない方がいることも事実です。
CRPSはけがや痛みを語る上で、またけがや痛みの患者様の施術に当たるものとして常に念頭に置いておかなければならないとても大事な事です。
CRPS(RSD)の発生誘因
CRPSの臨床症状と発生誘因をご紹介いたします。
≪臨床症状≫
・安静時痛 ・運動時痛 ・灼熱痛 ・発赤 ・熱感 ・腫脹 ・浮腫 ・爪変化 ・皮線消失 ・皮膚光沢 ・骨萎縮 ・筋萎縮 ・アロディニア(allodynia:通常なら疼痛を起さない刺激で誘発される痛み) ・ハイパラルジージア(hyperalgesia:痛覚反応において通常よりも強い痛みを感じる痛覚過敏) ・レイノー現象 ・冷感 ・蒼白な皮膚 ・多汗 ・多毛 ・脱毛 ・関節拘縮 ・こわばり ・他≪発症誘因≫
【外傷】
骨折、打撲、捻挫、脱臼、挫傷、切創、刺創など
【疾患】
四肢体幹の慢性疼痛、心筋梗塞、糖尿病、椎間板ヘルニア、頚椎変性疾患、脳血管障害、神経軸索の腫瘍、灰白脊髄炎、多発性硬化症、慢性関節リュウマチ、変形性関節症など
【医原性】
手指の切断術、手の腫瘍切除術、暴力的な徒手整復術、ギプス固定の緊縛、脊髄造影術、他動強制的な運動療法、カイロや整体などによる矯正術、強刺激の物理療法、悲観的ムンテラ、強刺激マッサージや強指圧、正中神経及び坐骨神経への針刺し事故、サイオペンタールやアルコールの神経内または傍神経への注入、手術一般、そのほか疾患における未熟な疼痛管理や外傷における未熟な腫脹コントロールなど三上クリニカルラボより引用
CRPS(RSD)の発生にも「脳疲労」が関係します。
その一例として、もともとCRPS体質の患者様が、怪我をした後に「リハビリは痛いよ」とか「痛くても頑張って動かさないと関節がかたまっちゃうよ」というようなネガティブな情報を受け取り、痛みやけがに対しての不安が脳内で増幅して定着してしまうと、脳疲労が起きてCRPSが発生する場合もあるようです。
また、外傷が起きる前から抱えていた脳疲労が影響している場合もあります。
CRPS(RSD)の分類
【痛み中枢の活性化】・・・痛み”が臨床像の前景に立つ場合
【交感神経の機能異常】・・・腫脹、浮腫、充血、阻血、委縮などの交感神経の症状が主の場合
CRPSは完全型と不完全型に分かれ、多くの方は不全型に入ります。
CRPS完全型・・・【痛み中枢の活性化】あるいは【交感神経の機能異常】の両方、あるいはどちらか一方が極めて強固な状態に達し、不可逆的変性に陥っているもの。
CRPS不全型・・・可逆的変性にとどまっているもので、そのなかでも軽症から重症まで幅があり、それによって回復までの時間が変わります。
極軽症であれば数週間、中等度のもので数カ月、重症例では年単位を要し回復してきます。
CRPS(RSD)体質というものが存在します
日々の診療において、痛みの刺激にとても敏感な患者様がいらっしゃいます。
このような患者様を「CRPS体質」と捉えて、施術の中で極力痛みを与えない・伴わないように対処しています。
実際、痛みやしびれでお困りの患者様の中で1~3割の方にCRPS体質が認められます。
臨床上、CRPSは、誰にでも発生するという可能性は決して多くはなく、もともと痛み刺激に敏感な方に対して、何らかの強い外的刺激が加わった際に起こるケースが大半だと実感しています。
これはけがや痛みの患者様の治療や施術に当たる医療者なら必ず知っておかなければいけないことだと思いますが、上に挙げたように、患者様を扱う医療者(ドクターを含む)の中にもCRPS自体を知らない方がいることも事実です。
以前、読売新聞に厚生労働省が発表した介護予防「筋トレで悪化」16%という記事が出ましたが、まさしくこのように筋トレで悪化してしまう人たちが“CRPS体質”に当てはまります。

基本的にCRPS体質の方は痛み刺激にとても敏感なため、施術に対して痛みを感じる手段すべてが禁忌となります。
刺激の強い治療や筋肉トレーニングなどの負荷のかかる運動療法、または痛み止めの注射や点滴をすると、局所の痛みのみならず全身の運動機能や自律神経機能が不安定になります。
過去にこのような事で悪化した経験を持つ方はCRPS体質の疑いがありますので、強い刺激的な治療手段や侵襲的な介入は避けたほうが無難と思われます。
また、CRPS体質の患者さんが手術(特に椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症)を受けると、術後に不安定な現象が現れやすくなります。
以上の点を踏まえ、上記のように実際にCRPSを発症している患者様の施術に対しては、刺激の強い治療や筋肉トレーニングなどの負荷のかかる運動療法は絶対的に禁忌となります。
牛久市の蛯原接骨院で行うCRPS(RSD)に対しての施術法
当院のCRPSに対しての施術方法は、BFI療法やミラー療法(脳を騙すリハビリの方法)温冷交代浴(自律神経を整えます)をします。
また、当院が作製する装具(患部を外部刺激から保護するためのもの)を使用する方もいらっしゃいます。
最も大切な事として、CRPSの方への施術に際しては「痛みが絶対に伴わない事・痛みを絶対に与えない事」を念頭において施術しています。
過去に来院されたCRPS(RSD)の患者様
過去に当院に来院されたCRPS(RSD)の患者様は、骨折後に他院にて処置を受けた後にCRPSを発生したケースで、来院された例が数例あります。
手首の骨折後に痛みをこらえてリハビリをしていたとの事です。リハビリが進むにつれ、痛み・むくみ・皮膚の光沢が出現したとの事でした。かかりつけのドクターに症状を訴えても、リハビリが足りないから、「もっと一生懸命リハビリをやってください」と言われた、との事でした。
CRPS体質の患者様でしたが、CRPSを知らないドクターとのやり取りの中から感情のねじれが起き、CRPSが発症しました。
痛みの為にリハビリを継続する事が出来ずに、知人の紹介により当院に来院されました。
また、他院にて腱鞘炎と診断されたものの、痛みが引かずに来院された患者様も、典型的なCRPSの症状を呈していました。
このように整形外科のドクターでもCRPSについて理解の少ない方もいらっしゃいます。
ちなみに他院から転院されたこの患者様は、今現在はCRPSによる疼痛やむくみはほぼ消失し、いろいろな事が出来るようになるまでに回復しております。
まとめ
CRPS(RSD)でお悩みの患者様も多くいらっしゃることと思います。
中にはCRPSと気づいてもらえずに、苦痛を我慢してリハビリや運動をしている方もいらっしゃるのではないかと思います。
完全型でなく不全型であれば、患部の程度によって回復してくる期間も人それぞれではありますが、適切な施術や生活管理をすることによってつらい症状から徐々に解放されていきます。
また、CRPS体質という、痛みに敏感な患者様の施術に対しては、低刺激で優しい刺激のBFI療法が非常に適しています。
茨城県内では総合病院でも大学病院でもこの施術法は行っていません。
また、痛み止めや神経の薬では脳疲労は改善しません。
茨城県内では2院のみで行っており、当院はBFI研究会の認定院となっております。
ご来院いただいた際には、BFI療法インストラクターである院長が責任を持って施術致します。
是非一度、体験して頂ければと思います。