第5中足骨基底骨骨折(下駄骨折)は、足首の捻挫と同様に、足部~足首を内捻をりすることによって発生する骨折です。
従来、当院での第五中足骨骨折の固定方法は、足関節を含むギプスシャーレ(取り外しのできるプラスチックギプス)を使用していましたが、最近では骨折部周囲だけの副子固定を施しております。
その理由としては、足関節を長期間固定してしまうと、固定を外した後の関節がとても硬くなってしまい、リハビリ期間が長期となってしまうからです。
どのようなけがにも言える事ですが、ただ患部を固定すれば良いというものではありません。
また、ギプスを巻くにしても気を付けなければいけないポイントがあります。
また、特に骨折では、固定して骨がつくのを待っているのではなく、患部周辺に微弱電流通電をしたり、またBFI療法を施すことによって予後が変わってきます。
今回のブログは当院の第5中速骨基底部骨折の固定の仕方と施術の仕方をご紹介いたします。
第5中足骨基底部骨折(下駄骨折)とは


中足骨は足の甲にある骨で第1~第5番目まで存在します。
左の足部外見写真では、赤丸の場所が第5中足骨基底部です。また、右の写真の黒い線の所が第5中足骨部の骨折部です。
下駄骨折の由来は、昔、下駄をはいていた時に鼻緒を支点として足部を捻り、第5中足骨基底部骨折を起こした方が多かったのでこの名前がついた様です。

一般的な固定方法
病院などでの一般的な固定法は、足の甲から足首を含めた全周ギプス固定です。
またはギプスシャーレといって、ギプスの両側面をカットし、前面のギプスがない状態の固定になります。


当院での固定方法
(実際の写真がないので画像を加工してあります)
第5中足骨骨折の固定期間は目安として約3週間です。
以前は、当院でも第5中足骨基底部骨折では足首を含めたギプスシャーレ固定をしていました。
現在は上の写真の様に骨折部周囲に副子を当てての包帯固定を施しております。
足首を含むギプスシャーレの固定をしていた時と比べると足関節を固定しないため、足首の拘縮(足首が硬くなる)がほぼなく、リハビリ期間が非常に短くて済みます。
また、足を庇って腰痛が発生する頻度も減少しました。
また、当院では、なるべく受傷直後から、可能な範囲で荷重していただくように説明をしています。
もちろん副子と包帯にて患部を固定することが条件です。
痛みが強い時はなかなかそれが厳しい場合もありますが、足に体重を乗せていく事によって骨癒合(骨がつく期間)も早まります。
また、足を庇う事により発生する腰痛やCRPSの予防としてBFI療法も行います。
固定後は可能な範囲で通院していただきます。
微弱電流通電の施術も受傷日より開始可能です。
皮膚の弱い方でも、患部をまめに清拭する事ができますので、皮膚のトラブルも少ないです。
また、個人差はありますが、エコーにて骨折部の状況をみた上で受傷後約2週間後より、患部周辺の運動療法も開始します。
このようなケアを続けることにより、骨癒合(ほねがつく)までギプスを巻いたままの状態に比べると、固定除去時の痛み・違和感・硬さが大分緩和され、スポーツ等への復帰も早まります。
まとめ
骨折を起こした時は、固定の仕方や固定期間、固定期間の過ごし方、また、固定時の施術の仕方によって症状の回復具合に差が出てきます。
当院では、少しでも患者様が快適に過ごせるほうがよいと考え、上記のような施術や固定方法を取り入れております。
自分も学生の頃に骨折の経験がありますが、何週間も外すことのできないギプスの隙間に、割りばしやペンを入れて痒い所を掻いていた記憶があります。
上記の固定方法ですと、皮膚の状態が管理できますので皮膚トラブルも非常に少なくて済みます。
現在は、第5中足骨基底部骨折に限らず骨折の固定法や固定材料も従来の方法より変化しています。
ただ、しっかりと固めて固定すればいいというわけではありません。
本当に経過が違うんですよ。
固定したまま、1週間ごとにレントゲンを撮っているだけでは、回復までに時間がかかります。
また、この骨折では骨癒合後に足部の動きが悪く(硬く)なりますので、リハビリも必要です。
過去には病院で「リハビリは自分でやって下さい」と言われ、困った患者様が当院に来院されたこともあります。
当院では患者様の負担が少しでも減るように、古い物にこだわる事はなく、常に新しい物を取り入れるようにしています。
けがをされた際はぜひ、当院までご相談下さい。