TFCC損傷と言われる手首の痛みに対して、当院でも数多くの施術経験がありますが、痛みの出ている手首を施術していても施術経過が悪い(治りが悪い)という印象があります。
今回のブログでは、一般的には治りづらいとされている手首のケガである「TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)」について、当院に来院された症例を元にご紹介いたします。
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TFCCとは?
TFCCとは、三角線維軟骨複合体(さんかくせんいなんこつふくごうたい)でTriangular Fibrocartilage Complexの略称です。手首の小指側にある軟部組織で、軟骨と靱帯から構成されます。
標準整形外科学より引用
TFCCの痛みが発生する原因
一般的に言われているTFCCの痛みが発生する原因を以下に上げます。
- 外傷
- 手の使い過ぎ
- 加齢
- 前腕の尺骨と橈骨の長さの違い(plus variance)
特に原因がなく発生する場合は、前腕の尺骨と橈骨の長さの違い(plus variance) を指摘されることが多いのではないでしょうか?
TFCC損傷はレントゲンで判断することは不可能です。
それは、手首のレントゲン写真を見ればわかると思いますが、レントゲン写真ではTFCCの確認はできません。
一般的に手首の小指側に痛みがあるとTFCC損傷と診断される事が多いようです。
画像所見よりは、実際の症状をもとに診断されることが多いと思います。

赤い丸の中にTFCCがあります。
写真の様にレントゲン写真には写りません。
尺骨の長さは痛みの原因にはなりません
一般的に橈骨より尺骨の方が長くなっていることが問題視される事が多くありますが、結論から書いてしまうと、骨の長さは痛みの原因にはなりません。
尺骨の長さの違いは、痛みが出る前からもともと存在していたものだと思います。
また、痛いほうの手首にしか尺骨の長さの違いがないとも限りません。
実際、骨の長さを調整する手術をされたという方でも、痛みの改善がみられず来院された方もいらっしゃいます。
TFCC損傷と診断される症状
主として手関節尺側部の痛みが出現していることが、診断する上での大きな指針になります。
また、手関節伸展(手首を上にそらす)・尺屈(手首を小指側に曲げる)・前腕回外時(手のひらを上に返す)に痛みが出現します。
さらに、痛みのために手を強く握れず、握力の低下が見られる事もあります。
TFCC損傷に対しての施術法
まずは損傷部を回復させるための物理療法をします。
そして患部の安静が第一とされます。
包帯やギプスシーネ・サポーターで固定して保存療法で痛みの改善を図ります。
患部を安静にすることで症状が改善する方はそれでいいと思いますが、安静状態を保っても症状が改善されない方も多くいらっしゃいます。
その場合は、一般的には手術対象になる事が多いようです。
他院でTFCC損傷と診断を受け治療をしていたが、痛みが引かずに来院された症例
年齢
40代
性別
男性
受傷原因
自宅内のDIYで電動ドリルを使用した。作業は無事に終ったがその日の夜から手首の痛みが発生した。
翌日、自宅近所の医療機関を受診し、レントゲン撮影を受けTFCC損傷の診断を受ける。
受傷からの経過と当院来院時の症状
手関節部のサポーターによる固定と低周波による治療を2カ月受けたとの事。
当院来院時は手関節伸展時の疼痛、座面に手をついて立ち上がる事が(疼痛のため)できない、また前腕の回外時に痛みを訴えられました。
あと、握力の低下が見られました。
TFCC損傷とされる手首の痛みの真の原因
施術に入る前の問診で、手首の痛みが出る前は、仕事が忙しく休みもとれない状態だったとお聞きしました。
このような状況の方は、手首の痛み以前に脳疲労が発生しています。
脳疲労が起きると機能不全が発生し、その方の弱点(以前にけがをしたところや構造的に弱い所)へ痛みが発生します。
ドリルを使用してから痛みが出たとの事でしたが、この方の痛みの真の原因はドリルの使用ではなく、痛みが発症する前から起きている脳疲労にあったと考えます。

以前の医療機関では「痛みが引かなければ手術をします」と言われたそうで、とても不安が大きかったそうです。
痛みが引かないうえに「手術」という話になると心配し不安が大きくなります。
そうすると、ますます症状の改善が見られなくなります。
脳疲労が起きている場合は、マンテストが陽性になったり、体の硬さや手首の痛みの原因となる部位の可動域制限や筋緊張が見られます。
手関節のみではなく、全身の状態に目を向ける必要があります。
まずは不安と症状に対する思い込みを解消させることを優先し、その後、患部の安静とBFI療法メインにして施術をしました。
TFCCの痛みの原因も脳疲労が関係します
当院での施術は患部の安静と共にBFI療法を用いて治療します。
TFCCと診断を受けた方でも、問診の際によくお話をお聞きすると、仕事が忙しかった・家族や対人関係の悩みがある・親類の具合が悪い・・・など、周りでネガティブな出来事が起きていることが良く有ります。
中には、ネガティブな内容を他人に話したくない方も居るため、一概に聞き取れるわけではありませんが、「ネガティブな出来事が関係しない人はいない」と言い切っても良いと思うほど、多くの方が抱える痛みやしびれには脳疲労が関係します。
最後にもう一度大事な事を書きますが、TFCC損傷とされる手首の痛みは、痛みの出ている手首には大きな原因が無いことが多々あります。
痛みの原因を画像で見出そうとしますが、画像検査によってTFCC損傷と診断を受けた方でも、それらは原因になっていません。
椎間板ヘルニアや狭窄症などと同様です。
このことが、TFCC損傷は治りづらいとされている要因だと思います。TFCCは血管の分布が少なく回復に時間がかかるのではありません。
手首の痛みは結果であって原因ではないと言う事です。
痛みの原因が手首(TFCC)に無いのに、手首に目を向けているから治らないのです。
また、上述したように
尺骨の長さを調整する手術をしなくても、BFI療法を行い、全身状態や脳疲労の回復・自律神経が安定してくると症状は改善します。
TFCCの痛みが引かずにお困りの方は、まずは、ご相談ください。
お役に立てると思います。